関東街歩き写真録―〇〇で何が見えるか― #2 横浜・鶴見編

文責:Belfastは19街区のなか。


 今日は、五街道のひとつであり、東海道の沿線に発展してきた横浜・鶴見を歩いていきます。一見ただのベッドタウンですが、大都市が連続する地域の一角を担うが故の雰囲気が漂います。それは現在だけではなく過去からも。そして人工物と融合する水面は都会ならではでしょう。なお、#1のときにお伝えするのを忘れていましたが、写真は携帯(Xperia・Galaxy)クオリティです。訪問は2019年6月にしています。

鶴見中央4丁目

 京急鶴見駅東口に広がるのは閑静な飲み屋街でした。見た目は静寂の中にお店が明々と存在感を発しているだけですが、店内は多くの人の隠れ家として賑わっていることでしょう。この旧東海道は交通量が少ないですが、それでも石畳の歩道でおしゃれを演出し、人当たりのよさを印象付けることができるのでしょう。

 鶴見川から対岸方向。迷いのない月が私の足元を薄っすらと照らし、生温い音を上げる水面と何とも言えない照度が、私が河岸を好きな理由だとこのとき感じた次第です。それで心を平静に保てたり、創作意欲が湧く原動力になったり、不思議ですね。まだ完全には日が沈んで居ない19時、空は夕刻と夜の端境を表現する藍で染まっていました。

 都市部にはなかなか無い、手が宙に届きそうな場所、それが河川です。開放感に溢れています。真横から街を覗いていますが、なぜか鳥瞰している感じに浸ります。

生麦5丁目(国道駅付近)

 鶴見川に沿ってしばらく行くと、JR鶴見線の国道駅付近に出ます。国道駅は高架駅であり、無人駅。注目に値するのは、駅の改札があるガード下です。

 昭和のまま時を動かされることなく棄てられたガード下。なのに看板の保存状態が良いあたりは映画のセットのようです。しかし「時が止まっている」のではなく「時が棄てられている」のです。

 それではこの場で私が空虚感に包まれることができたかと言えば、そうでもなく。京浜が連担している市街地の一部とあらば、人がいないわけではありません。市民の生活路となっているこのガード下は、それなりに歩行者や自転車が通るのです。虚しいのに人がいる、このような経験は大都市ならではかもしれません。

生麦5丁目(花月園前駅付近)

 さらに行くと、京急線の花月園前駅(現:花月総持寺駅)あたりに出ます。国道15号から一本右を覗くと、駅まで商店街が真っ直ぐ敷かれています。商店街の一日は早く閉じるようで、街を演出する人々がいないことに寂しさを憶えます。

最後に

 ここでJR鶴見駅前は駅ビルもある一般的な首都圏の駅ということを述べておきます。しかし路地を曲がると、旧街道・下町の雰囲気や工業地周辺の住宅の空気を匂わせています。たまには京浜東北線を途中下車してみるのも良いのではないでしょうか。

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