"2 WAYS TO SAY 'THE' IN ENGLISH" (97WPM)Learn English with Gillシリーズ=英語教材のお話(その11)=
本日、紹介する教材も、YouTube です
「YouTube はすごい!」というのが、最近の、ますますの、率直な感想です。英語学習教材といえば、YouTube をはずすことはできません。
YouTuber の英語講師の方々を紹介するのもアイデアかなと思いつき、優秀なYouTuber の方々の紹介もしていこうかなと思います。
先発は、YouTube で人気講師のジルさんにしました。
都立高校時代の古典の先生を思い出させてくれたジルさん
ジルさんは、都立高校時代に私が習った古典の先生を思い出させてくれる講師でした。私が習った古典の先生は、奈良教育女子大卒の年配のベテラン教師でした。もの静かで、教室で怒ることなど一切なく、左手で教科書を水平にもち、いつも見上げるように眼をしばたかせながら、ゆっくりとかみしめるように授業をされていました。でも、地味な先生の良さなんてわからない生意気盛りの高校生たちでしたので、かなり失礼な対応をしてしまう迂闊さが我々にはありました。
日本人英語教師英語で英語を教えなければならないのであれば私ならジルさんをお手本にします
すでに私はリタイヤしましたが、日本人英語教師が、新カリキュラムで、もし英語で英語を教えなければならないのであれば、私ならジル先生のカリキュラムを真似て、ジルさんの動画を見て、必死にやります。
それは、何故かというと…。
第一に、教師は指導技術云々より、人格がより重要だということ。
第二に、ジルさんが、教室環境を安全・安心な場所にしていること。
第三に、指導内容を欲張らずに、集中して、絞って、その結果、深く教えられていること。
第四に、教室にいる全ての生徒が内容についていけるように、時間的余裕をもって、合理的な道筋にもとづいて段階的に指導していること。
たとえば、日本で、日本語を日本語で上手に教えられる優秀な日本語教師のように、ジルさんは、とってもよい先生なのです。
よくわかりませんが、印象では、ジルさんは言語教育専門の教育を受けてきた方ではなさそうです。切れ味の鋭いタイプというより、むしろ生徒を安心させることのできるタイプ。その授業は、生徒置いてきぼりの、独りよがりの教師主体の授業ではありません。生徒主体の、生徒のための授業なのです。
理解可能なインプット教材という点でとってもわかりやすい授業をしてくれるジル先生
YouTube を活用して、なんちゃって留学のすすめなるものを着想したことがあります。
もしわたしが仮想英語学校の運営者であれば、1時間目は、文法担当で母語話者の〇〇先生にお願いする。2時間目は、リーディング担当で母語話者の〇〇先生にお願いするというイメージで、いわば遊びで、これを考えました。
そのときは、すこし地味かなと思ったジルさんは授業担当者のリストに入れませんでしたが、今回抜擢させていただいたのは、理解可能なインプットという点からです。
コトバを追いかけずに内容を追うとコトバがついてくる
たくさんあるジルさんプログラムの中で、今回たまたま選んだのは、the の発音を教えてくれる約12分のレッスンです。
the の発音は、次に子音が続く場合と母音が続く場合とで、the の発音が違ってきます。そんなことは知っているよという高校生も、そんなことは知らないという高校生とがいると思いますが、そこは気にせず大丈夫です。レッスンで、ジルさんが、懇切丁寧にまさに内容を教えてくれますから。レッスン自体が、シンプルで簡単に理解できるジルさんの「言語活動」で展開されるところがミソです。
コトバが欲しいからと、コトバを追いかけても、コトバというものは逃げるものです。そして、そうなれば、当然、内容理解も逃げてしまいます。逆に、内容理解に集中して、コトバが欲しいという欲を捨ててコトバを追いかけるのを止めると、あら不思議、逆にコトバがついてきて、コトバが習得しやすくなるのです。この皮肉的な現象は、フランス語を英語で学んだら、フランス語は身につかなかったけれど英語は身についたというような、コトバの学習あるあるの話なのです。
英語を介してすでにわかっていることをテーマにしたレッスンがおススメ
であるとすれば、あなたがすでに知っていることを英語で学ぶのはどうでしょうか。すでに分かっている英文法項目などを説明しているジルさんのレッスンがおすすめです。すでに知っている内容を追いかける。すると、コトバがついてくる。繰り返しになりますが、あなたが知らないことをさらに慣れていない言語で学ぶ作業は、二重に三重にむずかしい作業なのです。
ジルさんの話すスピードはだいたい100WPM
"2 WAYS TO SAY 'THE' IN ENGLISH" の授業の総語数は、1173 語。時間は、12分07秒。このWPMは、97WPMで、約100WPMです。第一段階の50WPM、第二段階の100WPM、第三段階の150WPM、第四段階の200WPMというざっくりとした目安でいえば、これは第二段階のスピードになります。
"Learn English with Gill"は、engVid.comで提供されているようです。この民間のengVid.comはよく知りませんが、YouTube に貼りつけられている以下のジルさん自身の紹介文は彼女の気持ちのよくわかるテキストになっていて、長年教師をやってきた者としても共感せざるをえません。
ジルさんは今年亡くなられジルさんの略歴を伝える訃報動画を先日見ました。残されたたくさんの授業動画で故人を偲ぶことができますが感慨深いものがあります。ジルさんの味わい深い"Fire and Rain"の歌に私は感銘を受けました。
つまらないと思った人は別の教材を探しましょう
よい教材であっても、かったるい、つまらないと思えば、あなた向きではありません。そんな教材はさっさと捨てて、自分にあった教材を選びましょう。