いろいろな音楽を知りたい!聴いてみたい!そんなあなたにはレコードがおすすめです
レコードの魅力に取り付かれてはや十数年。そのなかで数多くのレコード達が我が家のレコ棚に加わり、そして去っていきました。レコードとの沢山の出会いと別れ、そしていくつかのライフイベントを辿りながら磨かれていった自分自身の音楽的嗜好。平坦ならざるその過程を経て我ながらかなり特殊なものになってしまったような気がしています。
今回、「レコード未経験の方にレコードに興味を持ってもらおう!」という極めて重要なテーマを与えられたものの上述のような嗜好に至ってしまった自分が何を取り上げるべきかについて熟慮を重ねた結果、レコードそれ自体が持つ魅力や最初に手に取るべきレコードといったご紹介については他の有識者にペンを譲り、今回はレコードはおろか、そもそも「普段耳にすることが無いような音楽」という視点から音楽そのものに興味を持っていただけるような作品を取り上げたいと思います。一点重要なのはここでご紹介するものは現時点、「新品で購入できるレコード」であるということです。
文:松原 哲(Ecostore Records)
エマホイ・ツェゲ=マリアム・ゴブルー
まずご紹介したいのがここ数年のあいだで発掘音源のリリースが進み、再評価の声が高まっているエマホイ・ツェゲ=マリアム・ゴブルー。エチオピアで修道女として活動する傍らでピアニストとしても活躍する彼女の諸玉の作品を集めた編集盤です。彼女の音楽に対してよく引き合いに出されるのがエリック・サティ。そのことからもわかるように、針を落としたその瞬間から非常にミニマムかつ静謐な音世界が展開されます。作品集としては複数タイトルが発表されていますが、今回取り上げたこちらはジャケットに箔押し加工が施されている豪華仕様であり(デザインも◎)、その所有欲も充分に満たされること間違いなしの一枚。内容はさることながら、そういった意味においてもぜひレコードで持っておきたい作品です。
ヴァレンティーナ・ゴンチャロワ
次いでご紹介したいのがウクライナのキーウに生を受け、エストニアやロシアといった北方各地を渡り歩く現代音楽家ヴァレンティーナ・ゴンチャロワのアーカイブ集。チェロなどの弦楽器やシンセサイザーを駆使し、全編を通して極めてアヴァンギャルドな音世界を構築しています。無調かつ持続性のある楽曲群はうまく言葉では言い現わすことが出来ない中毒性があり、未知の音楽体験をするにあたっては絶好の作品です。配信でも聴くことはできますがそこはやはりレコードで押さえておきたいところ。年代ごとにvol.1、vol.2がリリースされておりますが、そのどちらも非常に強力。あっという間に彼岸に行けます。
タチアナ・ドルジエワ&マリア・ベルチコワ
そして最後はこちら。まず、皆さんはカルムイク共和国という国をご存知でしょうか。おそらくほとんどの人が初めて目にする(耳にする)国名だと思いますが、このカルムイク共和国はロシア連邦を構成する国のひとつ。民族的にはモンゴル系の人々が暮らす国でありヨーロッパ圏では唯一仏教を信仰する国だそうです。そしてこの作品はそのカルムイクの人々の中で広く歌い継がれてきた民謡をコンパイルしたものであり、資料的価値も非常に高い一枚。現地の言葉で綴られるその内容は宗教や婚礼に関するもののほか、民族がどのような歴史を歩んできたかを伝承するものであるとのこと。ジャケットに鎮座するマリアさんとタチアナさんの佇まいもどこか歴史の語り部としての風格を感じます。
昨今における世界的なレコードブームの後押しもあり世界中の隠れた名盤珍盤、名曲珍曲が続々と日の目を浴びています。今や国内外を問わず絶大な人気を誇るシティポップも、そのブームの元を辿ると「極東の島国で作られた未知の音楽」として世界中の音楽ファンにより発掘されたことから端を発します。今回ご紹介したようなこれらの発掘音源は、発売される際のフォーマットはアナログレコードであることが大半。未知なる音楽体験のその第一歩として、ぜひレコードを手にしてみてはいかがでしょうか。
【スタッフによるおススメ作品紹介・おトクな情報を購読しませんか?】
エコストアレコードはヤフオクに出品している商品のスタッフによるおススメ紹介・おトクな情報を毎週配信中。下記バナーよりYahooにログインのうえ、当店のニュースレターをぜひご登録ください。