押し出される勢いをつかう
4月。駅には人が溢れかえり、いってらっしゃいとおかえり、さようならが交差している。
駅だけでなく新年度ということもあって、SNSには新たな環境に移行する人の気持ち、所信表明や意気込みも多く綴られている。
不安、寂しさ、夢、目標が込められているのが文章からも感じられる。
そういえば。
わたしは夢や目標を持って今の仕事を始めたんだったっけ?
振り返ってみると、そんなことは無い。
とはいえ、最初から無かったわけではない。自分の経験からその頃の自分がこうなったら良いのに、そうすればもっと組織や社会は良くなるはず、と熱苦しいくらいの想いを燃やしていた。そして、ただ悶々としていたわけでもなく、少しでもその目標に近づけるようにと行動もしていた。
活動しているのは楽しいだけでは無いけど、充実さは感じていた。しかし独立のタイミングは自分が「ここだ」と決めたわけではない。
その時やっていた仕事の全てが充実していたわけでもなかったが、続けるつもりでいたのだけれど、いくつかの状況が重なって押し出されるように退職を2,3日で決めた。
だから周到な用意があるわけでもなかったし、目標に向けて活動もしているうちに迷っていた。
同じようなことをやっている人は、山ほどいる中で自分は何をするのがいいのだろう?という気持ちの中でそれまでの職場を去り、新しい生活に踏み込んだ。
だから以前は春になるとザワザワした気持ちだった。
どうしよう。
わたしには大志どころか、自分の強みとなる分野も語れない。
春の霞に巻き込まれたかのように先が見えなくて悩んだこともあった。
そこから、今も明確な目標は掲げられてはいないのだけれど。
自分の可能性や他者の可能性を信じる人に関わりたいということと、これまでやってきたことが一言で言えないくらい色々なことなので、自分が面白い、関わってみたいと思ったら自分のできること、表現できることのどれでも良いから活かしながら関われたら良いと思えるようになったのはつい最近。
今も自分が咲ける場所を探しているところ。
自分で決めて行動しているような、そうではないような状態ではあるけど、きっかけになるようなことはできるだけ、関わるようにしている。
古いバイクのエンジンがうまく掛からない時。
自力で何とかする方法の一つとして「押しがけ」という方法がある。
自分で重いバイクを押して走り、その走っている勢いを活用してエンジンを掛けるのだ。
人も便乗で良いから、自分にエンジンを掛けにくい、瞬発力の出せない時には自分以外のきっかけを勢いにして動く力にすれば、やがては自分の力で動き出せる。