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#029 素材を味方に!文章スピードupの極意(ジブン株式会社ビジネススクール)

1000文字を書くのに2時間かかる。

読者に役に立ちそうなテーマを思いついても、肝心の中身が思い浮かばずに、固まってしまう。

木下斉さんのvoicyで上阪徹さんの「10倍速く書ける 超スピード文章術」の紹介があったが、そんな私の悩みに答えてくれる内容であった。

この本の提案は、「文章の中身」である「素材」を意識すること。つまり、「どう書くか」ではなく、「何を書くか」に集中することである。

「素材」があれば、「何を書けばいいかわからない」という悩みが消える。
素材に目を向けるだけで文章は速く書ける。

では、「素材」とは何か。
「独自の事実」と「エピソード」と「数字」である。

だだし、「形容詞」は「素材」ではない。形容詞は、書き手が経験を通して抱いた「感情」や「感動」である。しかし、文章の読み手は、書き手と同じ経験をできない。形容詞だけでは、何に感動したかが伝わらない。

「凄く寒い」は素材でなく、「温度計はマイナス1度を指していた」が素材である。

書き手の主観を読み手に理解してもらうには、客観的な素材に置き換える必要がある。客観を通して主観を理解してもらえる。

上阪さんの「素材」を活用した文章術を紹介したい。

①書く目的と読者を定める
②素材を集める
③素材を組み立てる
④一気に書ききる
⑤見直す

①書く目的と読者を定める

文章の目的をはっきりさせる。何のために文章を書くか決める。真の目的まで掘り下げ、文章を読んだ読者に何を感じてもらいたいか想像する。

具体的な読者を決める。どうしても読者をイメージできないときは、身近にいる友人や知人の中から「1人」を選んで読者に設定する。

確かに、文章の目的や誰に読んでもらうかによって、集めるべき素材が変わる。文章の目的や読者を無視して、素材を集めると、文章を書く段階で素材集めをやり直す必要がある。目的と読者を思い浮かべながら、素材を集める必要がある。

②素材を集める

「読者にとっておもしろい素材」を知るためには、どうすればいいのか。
読者の周辺状況をつかむこと。相場観を得ることが大切である。
おもしろいと思うものは、「知りたい」「興味がある」「これは便利だ」と思うことである。

設定した読者が何をおもしろいと感じるかを知る必要がある。
そのためには、読み手が触れている「情報」に自分も触れてみることが重要である。何に興味があるか。どんな情報に触れているのか。何を知っていて、何を知らないのか。読者を決めたら、その読者「相場」を常につかんでおくことが重要である。

速く書くには、「多く集めて、あとで削る」ことが重要。書き始めてから素材が足りないことに気づくと、あとからもう一度素材集めに走ることになる。

○素材の集め方

自分のヒラメキをメモする。同じ時間内にどれだけメモしておけるかが勝負。移動中やスキマ時間も素材集めに充てられる。

ア 「見たもの」が素材になる
取材で見たものをメモする。その場の「雰囲気」を伝えられ、「臨場感」を高められる

イ 「自分の感覚」も素材になる
「書き手が体験したこと」は文章の中でインパクトを持つ、自分だけが体験しているエピソードであるため、他の人には出せない、説得力が生まれる。自分が体験したことは、「自分が完全にわかっていること。」である。だから、速く書ける。

ウ 「書き手の意見や感想」も素材になる
自分の雑感を書き留めると自分がどんなことに興味があるか、どんなことに感動するかなど、物事に対する感性が研ぎ澄まされていく。コメント力は雑感を書き留めることから生まれる。誰かにインタビューしてもらうと、自分が考えていたことに気づける。

エ 素材は「自分の中」にもゴロゴロ眠っている
アイデアは、何かに気を取られているときに、いきなり浮かんでくる。ジムは「考えつつも他のことに気を取られている状態」を意図的に作れる。

オ 他人との雑談で素材を引き出す
他人との雑談をきっかけに、アイデアが浮かんでくる。

カ 1人でブレストする
1の素材を10に増殖できる連想ゲーム。他人とのコミュニケーションでアイデアが浮かぶということは、つまり、相手の思いがけない「言葉」に刺激を受けて、脳からアイデアや情報が引っ張りだされてくる。

○全ての素材をグルーピング

10個や20個くらいの素材が集まった時に、全ての素材を見直すとグルーピングができ、素材をまとめる「枝」が見えてくる。素材が少ない枝はカットし、素材が多い枝だけ採用する。

③素材を組み立てる。つまりは何を言いたいか整理する

○集めた素材の順番を決める
集めた素材を「一覧」にして、目の前の読者に「しゃべって伝える」ことを想像して素材の順番を決める。相手を目の前にしているときは、相手が理解できるレベルで相手にわかりやすい順番や論理でしゃべっている。

目の前の相手に伝わるように素材を組み立てるときに初めて、その人にもっとも伝わりやすい論理が生まれる。

○書き出しを面白く
誰も積極的に文章を読みたがっていないので、書き出しがつまらない文章は最後まで読まれる可能性は低い。

書き出しに常套句「私は」「いつもお世話になっております」を使わない。
常套句を使うのは書き手の都合。書き出しの役割は「その先」を読みたいと思ってもらうこと。

つまり、書き出しに最も共感できる素材、印象深い素材、気になる素材を配置する。

○締め
「締め」の文章は読後感に直結する。「結論」や「まとめ」を書くと良い。

④一気に書ききる

「読者」と「目的」を目に見える場所に書いておく。一度書き始めたら、中断せずに最後まで書ききる。調べたいことは「★など」マーキングして後回しにする。とにかく、書ききる。

⑤見直す

書き上げた文章は絶対にそのまま提出してはいけない。文章を寝かせ、初めて読む人の視点で冷静に修正する必要がある。

書き直しの手間が少なくなるよう文章の「全体」から「部分」へ焦点を移しながら修正する。

推敲のポイントは、「読みやすくする」ことと「わかりやすくする」ことである。

○読みやすくする
読みやすくするにはリズムが重要である。リズムを良くするには、「一文一文の語尾だけを見る。」「似た内容を繰り返している箇所を削除する」「指示語や順接の接続詞の量」を調整する。

○わかりやすくする
自分が理解できていない文章は書かない。前提知識がない人向けに書く。

○まとめ

書くスピードが遅い原因は、
読者と書く目的の解像度が低いこと、
素材集めができていない段階で書き始めてしまっていること、
素材集めの方法を知らないこと、
「自分が完全にわかっていないこと」も書こうとすること、
などがある。

「10倍速く書ける 超スピード文章術」という本タイトルは、普段であれば、購入しないタイトルである。「10倍速く書ける」が胡散臭い、現実的でないと思ってしまう。

が、この本は、「なぜ、書くスピードが遅いのか」との問いにわかりやすく答えてくれるものであった。書くスピードが遅い私にとって、間違いなくベスト3に入る本である。

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