駅の周辺開発による生態系の変化
有給を繋げて4連休の最終日。向かった先は上野である。
目的は駅構内にある有名店、「たいめいけん」のオムライスを食べるためだ。本当は朝食ぐらいのタイミングで来るはずが、寝坊してお昼ど真ん中の時間に着いた。
信じられないほど並んでいて、たっぷり30分待つ。ただし、単独行動をしていたおかげで、途中で複数客を何組か抜かして入れてもらえた。
「早く行くなら一人で行け」とはこういうことか。(全然違う)
私も行列に並び慣れてきたからか、「並ぶという行為は時間に余裕があるものだけに許された贅沢なのだ」という感覚を抱いてきた。家の中でゴロゴロするのも贅沢だが、行列に並ぶという行為には何となく経験を積み上げている感じがする。
カウンター席に通されて、オムライス&ハンバーグを注文した。外食を頻繁にする身からすると、このちょっとしたつけ合わせのお野菜は大変ありがたい。
食べ物は10年後の身体を作ると言われているが、10年後の私がもし体調を激しく崩したら、間違いなくこの時の食い道楽が原因である。
大満足で店を出ると、私が並び始めた時と同じぐらいの行列がまだ残っている。時刻は2時近い。本当の人気店というのは、「お昼のピーク」などという概念がなくて、ずっとピークなんだなと思った。
しかし、上の駅構内はすごい。お菓子屋本屋など、私の主だった欲望が駅構内で完結してしまう。この影響で上野駅から出ない人も結構いるんじゃなかろうか。
せっかくなので私は駅から出てみたが、以前にきた時と駅周りの様子が一変していた。レンガ作りを基調とした上野駅本体に加えて、周辺の文化施設も似たような茶色トーンの建物で統一感が出されていた。
上野は美術館や動物園などが密集しているのは前からだが、カラーを統一するとこんなに印象が変わるのかと驚いた。
先程の駅の中の店と外の店で競合関係も相まって、駅周辺の生態系が大きく変わっていそうだ。
以前に住んでいた兵庫県西宮市も、西宮北口駅に接続する形で阪急ガーデンズができて、人の流れが急激に変わり、波に乗れなかったお店たちは見るも無残な寂れようだった。
駅直通の商業施設がヒエラルキーの頂点に位置しており、恩恵を受けられないポジションのお店は営業努力ではどうにもならないほどの差がついてしまう。
経営者はこういう「ゲームのルールを左右するような話」にこそ敏感にならないければいけない、という好例だ。なお、こういう大規模開発は周辺の住民に向けて説明会が開かれることが多い。
ポストにチラシが投函されて場所と時刻のお知らせがあるし、着工となると明らかに工事中らしきフェンスも貼られる。
目の前の売上に汲汲としていると、こういう情報の意味を見落としてしまうのだ。