サラリーマンと個人事業主の違い
仕事道具を買うかどうか
個人事業主は商売道具を自分のお金で買う。その末に稼げなければ赤字はそのまま自分にのしかかってくる。
一流のスポーツ選手はバットやグローブはメーカーから無料で提供される。あれは宣伝を兼ねているからこその特別扱いで、大半の人は商売道具を自腹で払っている。
その分、個人事業主はさまざまなものを経費で落とすことができる。周りに推している個人事業主がいて、あなたがサラリーマンだとしたら、一緒に食事した時のレシートをあげると喜ばれるだろう。
一方、サラリーマンは会社の備品を無料で使うことができる。ボールペンや付箋といった文房具雑貨にはじまり、オフィスの水道光熱費など
細々とした出費で懐が痛むことはない。
会社の指揮命令に従う義務があるかどうか
サラリーマンは会社の命令に従う義務がある。人事異動などは最たるもので、たとえ望まない部署への異動であっても、断ることはできない。拒否するには会社を辞めるしかない。
一方、個人事業主に対して会社が出す命令は、サラリーマンほどの強制力はない。
個人事業主が稼ぎの一部を収めるのと引き換えに、会社側はトラブル対応や諸々の雑務作業、会社の看板などを提供している。利害が合致したからタッグを組んでいるだけで、「キャリアが拓けるかどうかは自分の腕次第」という点がサラリーマンと違う。
したがって、稼ぎ頭の人ほど会社の言うことを聞かない。言葉には出さないが、「いざとなったら別の人と組みますよ。私の稼いだ売り上げが失われていいんですかね?」という脅しがきくのである。
稼ぎの天井
自分の実力で青天井に稼げるのが個人事業主だ。一方、サラリーマンは会社の定める給与規定以上の稼ぎを得ることはできない。
夢がないとみるか、仕事ができない人間でも一定以上の収入が得られると見るかは人によって分かれるだろう。
転職のサポートを斡旋する人たちは、「やりたいことがないなら大企業のサラリーマンを目指せ」と言うことが多いように感じる。それは、まだ何者でもない人間がいきなり個人事業主でやってゆくのは失敗する確率が高いからだと思われる。
ノウハウへのアクセス
稼ぐためには人にはないノウハウが必要だが、サラリーマンは会社内に蓄積されたノウハウにアクセスできる。
一方、個人事業主は自分でノウハウを開拓してゆかなくてはいけない。サラリーマンをやっていた人がそこで蓄積したノウハウを活かして個人事業主になるのは、「どこのコミュニティにも所属せずにノウハウを獲得すること」がいかに困難かを表している。
個人事業主にとって一番の敵は、自分自身の堕落だ。