四十肩(肩関節周囲炎)に悩む方へ ~やってよかった関節鏡手術体験記~
「肩が上がらない」「腕を少し動かしただけで、悶絶するほど痛みが走る」
肩こりだと思っていたら、いつの間にか寝返りもままならない。
30代も半ばを過ぎれば誰しも体の不調を抱えていると思いますが、とりわけ肩の痛みに悩んでいる人は多いのではないでしょうか?
湿布やマッサージでケアをしていても良くならない場合、ある日突然、肩から腕に激痛が走る場合があります。それが肩関節周囲炎です。
四十肩、五十肩とも呼ばれますが、発症すると治療には長い時間が必要になります。酷い症状の場合「凍結肩」と呼ばれるほどカチカチに固まってしまいます。
そこで本記事では私自身が体験した「肩関節周囲炎」の症状とその経過、そして手術に至った経緯を紹介いたします。痛みに悩んでいる方、手術ってどんなもの?と思っている方は参考にしてみてください。
肩関節周囲炎の発症から手術までの時間経過
【2022年】
4月
・右肩があがらないことに気がつく。
5月
・腕まで痛くなり、急な動きで激痛。
・ K整形外科受診、肩関節周囲炎と診断。週1回のリハビリ開始。
6月
・改善せずリハビリ継続。
7月
・拘縮と夜間痛が悪化。
・ヒアルロン酸注射を試すが効果なし。リハビリを週2回にする。
8月
・拘縮悪化。
・寝転がった状態でお腹に触れなくなり、リハビリに疑問を持ち始める。
9月
・はじめてMRI。
・右肩も右手首も固くなる。
・肩の専門担当に引き継がれて手術を打診される。
( 関節鏡での手術+サイレントマニュピレーションの説明)
・サイレントマニュピレーションが怖くてH整形外科を受診。
同じ肩関節周囲炎の診断を受けるも、手術は関節鏡のみと判明。
11月
・休職。
・全身麻酔での関節鏡手術、2週間入院。
・手術翌日からリハビリスタート。
腕が上がらない?肩関節周囲炎の発症
2022年の4月。
当時私は仕事で顕微鏡を使っていました。そのため姿勢が悪く、肩こりが日常化していました。
冬の除雪作業から解放された頃、唐突に右の腕と肩が全く上がらないことに気が付きました。腕を耳に付けることが出来ず、60度くらいの角度になるとズキンと強い痛が走るのです。
数週間たっても治ることはなく、痛みはひどくなる一方でした。
忙しくてなかなか病院に行けずにいたのですが、5月中旬に最大の激痛が右肩を襲います。
同僚が放り投げた仕事道具を受け取ろうと右腕を伸ばした瞬間、私はあまりの痛みに膝から崩れ落ちました。
まるでマンガみたいな話ですが本当です。そして痛みに数分悶絶。これはいよいよ限界だと病院に行くことにしたのでした。
診断結果は四十肩
近所のK整形外科を受診、レントゲン検査の結果、四十肩と診断を受けました。それも結構な固まり具合とのこと。年齢的に少し早いが仕事柄なってもおかしくないかな…というお医者様の見解です。
この病気を発症した人の辿るルートは大きく分けて3つです。
1) 医療機関にかかり、リハビリ
2) 医療機関は使わず、治るまで自主トレ
3) 重症ならば手術
ネットの情報では放置、整体、マッサージ通いで治ると噂も聞くも、自分はそんな気がしませんでした。なにせカチコチに固まった肩なのです。まずはリハビリ通院することにしたのでした。
週1回、合計40分(1単位20分)のリハビリ治療を受けることになりました。
魔の7月、手首が固まりだす
リハビリの内容はベッドに仰向けになり、痛み右腕(肩)を理学療法士さんが少しずつほぐすように動かしてくれる感じでした。
肩揉みではないので、特別スッキリするわけでもなく、固まった筋肉をほぐすようにしているのはわかりました。しかし効果があまりないまま6月に入り、主治医からリハビリ回数を週2日に増やすよう指示を受けます。
その頃の私は毎日夜間痛に苦しんでいました。痛みで失神するように寝て痛みで朝起きる。という感じです。就寝時に肩の置き場に迷い、生活の質がとても下がる状態でした。リハビリをしても全くよくなる気配がありません。
そして毎週2回通院して7月を迎えた時、右腕に異変が起こりました。
右肩の痛みに続き、右手首が固まってきたのです。
肩の痛みも治っていません。むしろリハビリを受けるたびに悪化している気さえしました。そして異常に気付いてから1週間ほどで私の右手首は「へ」の字になって固まり、寝込んだ状態でおなかに乗せようとすると不自然に浮き上がり、お腹にくっつかない状態になっていきました。
手術へ…サイレントマニュピレーションの恐怖
k病院の肩専門医から「長期リハビリで改善がみられない」と手術を打診されました。手術と聞いて想像する切開とは異なり、関節鏡視下手術という手術です。
肩に小さな穴を複数個所あけて、関節内にカメラや手術器具を挿入し、関節の内部の病変部位を修復するのです。患者の負担が小さいそうです。
さらにサイレントマニュピレーションという方法を組み合わせると説明を受けます。
サイレントマニュピレーションとは麻酔をかけた肩を医師が動かして関節包を剥がして肩の動きを改善させる方法です。イメージとしては「固まった肩を人力でバキっとやる」というすごい説明を受けました。
恐怖です。関節鏡のほうが科学的に感じた私はインターネットを頼りにH病院を受診。紹介状はありませんでしたが、経緯を説明するとこちらはサイレントマニュピレーションがなく、即決で手術を受けることにしました。
関節鏡視下手術から2週間の入院
H病院の先生は全国でも有名な肩の専門医で、多くの症例を診てきたことからとても頼もしい印象でした。「先生が治すからね!」と力強い言葉をくださって、人生初の全身麻酔手術もあまり怖さを感じませんでした。
2022年11月に手術を受け、2週間の入院生活開始になりました。
手術後の説明では私の肩は無意識下でもガチガチで(麻酔により意識がないと少し肩が動く人もいるそうです)かなりの凍結だったようですが、翌日からすぐにリハビリ開始となります。
【入院中のリハビリ内容】
・装具から腕を出す
・寝転んで、理学療法士さんに腕をまっすぐにあげてもらう
・装具に腕をしまう
ここからスタートしました。
この病気は手術とリハビリがそれぞれ大切で、比重はイーブン。個人差はあるもののリハビリに多くの時間が必要になります。
【補足】
手術代金は高額療養費制度を利用したことで9万円程度でした。
退院。週2回の通院リハビリ
ここからは地道なリハビリの話になります。担当する理学療法士さんの方針や患者の状態に個人差があるために一概にこんなリハビリがいい、と言えませんが、週に2回。平均して3単位(60分)のリハビリを受けました。
自宅でのトレーニングも必要です。
・寝転がって腕をまっすぐあげる
・あげた腕を小さく円を描くように回す(右回り左回りを各10回)
・あげた腕を天井に着き上げるように肩を動かす(10回)
などなど。
極めて地味なトレーニングが大切でした。小さな動きで内側の筋肉を鍛えて支える土台を作るような状態です。
このほかにも行ったことはありますが、この基礎運動は痛みが治まりだしても続けていました。
半年後、変化の兆し
11月に手術をうけて翌年の1月に復職するものの、痛みと肩・腕の筋肉の堅さはとれず。週2回のリハビリを懸命に続けました。
2月頃には手首の拘縮がやわらぎはじめ、5月中旬にようやく右肩に良化の兆候がでました。具体的に表現するのは難しいのですが、筋肉がついてきたのか動きがスムーズになりはじめました。
「お?痛くない…かも?」というレベルですが大きな一歩でした。
週刊少年漫画雑誌を両手で持って「少しの間立ち読みが出来る」程度に回復してきたのです。重たいものは持てませんが、夜間痛もなくなり、睡眠が確保できるようになります。
多少肘が曲がるものの、バンザイのポーズが出来る程度には腕があがる状態です。
手術から半年経過でやっと人並みの生活に戻れそうな状態となりました。
左肩の発症
2023年7月。
非常に残念なのですが、まさかの左肩の肩関節周囲炎が発症。
腕を伸ばそうとしたとき、左腕に突如痛みが走りました。拘縮するまでは至っていなのですが、このままだと同じ道を辿るのは見えているので、右肩の治療ペースをさげ、左肩のリハビリに時間を費やすことになりました。
右肩を庇って生活したことで左肩に負担がかかったようですが、もともと左肩もあまり動きが良くなかったことからいつ発症しても不思議ではなかったというのが医師の見解でした。
手術は避けることができたのですが、現在まだリハビリを継続中です。
予想外の結果でしたが、右肩の記憶があるので頑張れると思います。
まとめ
肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の発症から診断、手術に関してのイメージをお伝えいたしました。
命を奪われるような病ではありませんが、確実に生活の質が落ちる病気であり、治療までの時間が膨大になる厄介さを持っています。
マッサージやサイレントマニュピレーション、いろんな方法を選択される方がいらっしゃるとおもいますが、私は関節鏡での手術を選択して満足しています。理学療法士さんとも波長があっていたので、信頼しています。
夜間痛で苦しんでいる方、痛みに悶絶している方、手術に迷っている方に少しでも私の体験が参考になればと思います。
肩の痛みに迷う皆さまに平和な日常が戻ることを願っております。