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「野球少女」豪速球不要のジェンダー映画 3つの素晴らしいストライク
韓流ドラマではお馴染みの「梨泰院クラス」イ・ジュヨン主演の野球映画を見てきた。良い映画だと思うが、緊急事態宣言下。日本橋では120人キャパの劇場に9人と大苦戦しそうな週末立ち上がりとなった。どこが素晴らしかったか3つのストライクとして紹介しよう。
天才少女が野球に目覚める話ではなかった
まず、そこから予想外だった。主人公は、映画の物語が始まるよりも前に、既に韓国全土で注目されている「女子野球選手」という設定。それが、この映画の脚本のミソ。私が、なぜここに、カギカッコをつけたかは映画を見てのお楽しみ。
ストライク1 スポ根ストーリーに絡まる社会問題の脚本が素晴らしい
基本的なストーリーは日本でもお馴染みのスポ根もので学園ものとなっている。しかも、ちょっと懐かしい雰囲気がある。でも、実に上手く、ジェンダー問題、セクシャルハラスメントの問題、パワーハラスメントの問題、先輩後輩の問題、家族の問題を盛り込んでいる。韓国は、伝統的に上下関係が厳しいので、日本人には伝わらない表現もあるかもしれない。ただ、見た感じでは、これら現代の問題は、日本で見ても共感するところがとても多い脚本だった。
ストライク2 音楽と音が素晴らしい
ポップでいて、ちょっと切ない雰囲気を感じる音楽が素晴らしい。そして、投球練習をするときのボールの音、バッティングの弾ける音、ミットの音……過剰ではない自然に感じる音だ。
ストライク3 微かな表情の変化で伝えるイ・ジュヨンの演技が素晴らしい
主演のイ・ジュヨンが、この映画の大半を占める。セリフも多いし野球のシーンもある。でも、注目してほしいのは、ちょっとした口元の動きのような微かな表情の変化。小さな動きでも心理を大きく伝えるのだ。
女性の社会進出を食い止めようとする人が登場しない映画
女性への偏見は多く登場する。話している側には自覚のない差別表現も登場する。でも、最後に強調しておきたいのは。この映画に、女性の社会進出を必死に食い止めようとする人が登場しないこと。日本と同様に女性の社会進出には伝統の壁が立ちはだかってきた韓国の映画でも、このような描かれ方であることに驚いた。確実に社会は変わりつつあるのだと思う。
ちなみに、野球の試合のシーンは出てきません。
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