ムード・インディゴ~うたかたの日々
数年前の健康診断のとき、
「肺に、小さい白い影があります。」とかかりつけ医に言われた。
その時にふっと思ったのは、
「ムード・インデイゴ うたかたの日々」のこと。
主人公の女性クロエは、肺の中に睡蓮の花が咲いて、呼吸ができなくなるという病気なのだ。
恋人は、たくさんの花でクロエを埋め尽くせば、生きることができるのではないかと考える。
それで、私は、肺の中に花の種でも飲み込んでしまったのかと想像した。
まあ、CT検査の結果は、以前に罹患した(私はかかった覚えがまったくないのだが)肺炎の時にできたケロイドのようなもので、癌ではないでしょうとのことだった。
ミシェル・ゴンドリーの映画は、夢の世界だ。
恋人たちを運ぶ雲。
カクテルを作ピアノ。
ダンスをするときは、足が伸びたり、びよーんとなったりする。
ああ、映画の楽しさいっぱい詰まった映像が続く。
「恋愛睡眠のすすめ」もすごくいい。
何がいいかっていうと、小道具の手作り感が半端ないのだ。
もう図画工作楽しんでいる監督の遊び心に、悲しい話もロマンティックな夢になる。
そして、エターナル・サンシャインはもっともっといい。
なぜって、脳内世界、時空を超えた世界を行き来してしまう恋愛映画なのだ。
記憶の中で、失われていくものを何とかつかみ取ろうとしたり、消し去りたくないともがいたり。
記憶を盗み出してしまうものまで出てくる。
記憶を消去することができるようになった世の中の話なのだが、今の話なのだ。
時系列が順番に描かれていないし。
記憶は変化してしまうし。
いったい何が現実なのか。
ミシェル・ゴンドリーの世界に迷い込んで、映画を楽しむ幸せ。
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