うちでは朝から妖怪がでます
1994年というから、もう30年も前のこと、あの分厚いドカベンみたいなサイズの「姑獲鳥の夏」が出版されました。
作者は京極夏彦。私は物語の主人公にあやかって、京極堂と呼んでいます。
あんまりおもしろくて、一気読みして次々と出る新刊をすごい勢いで読んで、その結果、私は妖怪通になりました。
京極堂シリーズの本に掲載された作者の写真を見て、
「これは、GLAYのTERUさんではないか。違ったとしても、同じ北海道出身だから親せきなのではないか。」と思うほど、若かりし頃の京極堂は、若かりし日のTERUでした。
物語の最後に憑き物落としをしてくれるので、悩んでいる人は、もしかして、カウンセリングより京極堂がいいかもなんて思ってました。
ちなみに京極堂シリーズの本は昼寝の枕にもなります。
その妖怪なんですが、最近我が家に、毎朝出没するのです。
そうです。こだわりと、ルーティンと、子どもの遊び心満載の長女ほかろんによる、毎朝「妖怪からの刑事部長」マスクパッチンです。
ほかろんは、知的障害があり、毎朝の起床のルーテインがあります。
それは、ほかろんの勝手気まま周期で、突然変わるし、良くわからないことだらけなんですが、私がわからなくてもよろしい。
ほかろんのルーティンなんだから。
そして、このところ、ほかろんのお気に入りが、
「妖怪からの刑事部長」マスクパッチンなのです。
51歳のおばさんと、76歳のおばあさんが朝からこんなことで遊んでいるなんて、面白くって楽しいです。
「一課長大岩」という刑事ドラマがあって、刑事部長を怪演しているのが、本田博太郎さん。
刑事部長は毎回、コスプレもどきで現れたりして、見せ場を作ってくれます。
その中でも、コロナ禍の時、刑事部長がマスクを鼻でなく目につけて、マスクを引っ張って、パッチンとしたシーンが、ほかろんは気に入ったのですね。
そのシーンを今頃思い出して、私が朝起こしに行くと、マスクを目に当てて起きてきます。
ほかろんは、夏の暑い日でも、マスクと帽子と手袋と靴下を身に着けて寝ています。
包まれているってことで安心しているんなら、いいか。
そして、着替えを終えて、寝間着を入れていた袋を頭からかぶって、廊下からリビングのドアのガラスのところにヌ~と立ちます。
そこで、私が気が付いて(ふりして)、
「ああー朝からあやしい雰囲気が。何か妖怪がいるのでは。」とお芝居して、ドアを開けます。
そして、
「今日の妖怪は、ぬらりひょんでしたか。」とか、日替わりで、いろいろな妖怪の名前を言います。
このときに、京極堂と水木さんの本から仕入れた妖怪の名前をいうと、ほかろんは、声を出さず、着替え袋の中で、喜んでいます。
そして、私がえいやッと、頭からかぶった着替え袋を取り払うと、そこには、目にマスクをした刑事部長が現れます。
「ああ、妖怪かと思ったら、なあんだ、ただの刑事部長ではありませんか。」と言って、マスクパッチンをする。
という、お芝居というか、ゲームというか、お遊戯というか、朝のルーティンをこなして、やっと、通所の支度になります。
ああ、めんどくさ。
でも面白い。
まさか、76歳になって毎朝こんなおかしいことできるのは、なんたって、ほかろんのお母さんだからですね。
さて、明日は何の妖怪がでるのかな。
ちなみに、実写化するとしたら、京極堂はジョニー・デップ。
榎津は、キアヌ・リーブスがいいですね。