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ADHDと血圧に関する珍しい論文を見つけました。ADHDは児童思春期において最も多く認める精神疾患です。

一方で、ADHDの基本的な病態生理はわかっていない点も多い一方で、子どもはさまざまな身体的な変化によっても、落ち着きを失うことがあります。

体と心が繋がっていることは間違い無いでしょうし、CBTでもそのような理論で展開されています。ADHDのように行動上の特徴で規定された疾患は、その影響を直接的に受けることになるでしょう。

今回の論文は、ドイツの健康調査(KiGGS)のデータを用いて、10年にわたるフォローアップを行った。ベースライン時に7~17歳の小児および青年でADHD群1,219例(11.1%)および対照群9,741例(88.9%)を対象に、血圧記録の比較を行った。両群1,190例ずつの比較を行う大規模な調査ですね。

・ADHD患者のベースライン時の収縮期血圧(107.6±10.7mmHg vs.109.5±10.9mmHg、p<0.001、Cohen's d=0.17)および拡張期血圧(64.6±7.5mmHg vs.65.8±7.4mmHg、p<0.001、Cohen's d=0.16)は、有意に低いことが明らかとなった。
・より厳密に診断したADHD群272例を用いた感度分析では、有意なままであり、Cohen's dは少し高くなっていた(収縮期血圧:Cohen's d=0.25、拡張期血圧:Cohen's d=0.27)。
・より厳密に診断したADHD群とマッチした対照群を用いたサブグループ解析では、10年間のフォローアップ後に血圧低下は持続しておらず、ADHDの有無にかかわらず収縮期血圧(123.4±10.65mmHg vs.123.78±11.1mmHg、p=0.675、Cohen's d=0.15)および拡張期血圧(71.86±6.84mmHg vs.71.85±7.06mmHg、p=0.992、Cohen's d=0.16)は類似していた。

この調査結果のわずかな血圧の差が、行動上の問題をどこでも、いつでも、幼い頃から引き起こすとは言い難いように臨床的には感じます。いずれもしてもADHDの生態病理学はもっと進めていべき大きな課題と言えるでしょう。