仏仏辞書(フランス語辞書)を使いこなす
ボンジューる!
中級(仏検準2級/ DELF B1程度)以上を目指す場合や、フランスの大学に留学を考えている場合、仏仏辞書は必要不可欠になります。そこで、紙/アプリ共に仏仏辞書と格闘したわたくしが、フランス語の手持ちの辞書について書いてみようと思います。
仏⇔和辞書との併用として、参考になればいいなと思います!
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1. 仏仏辞書なんて必要なの?
2. 仏仏辞書ラインナップ (アプリ・電子書籍)
3. 仏仏辞書 紙版
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1. 仏仏辞書なんて必要なの?
「仏⇔和辞書があるからいらないんじゃない?」
って、思いましたよ、わたしも。それに、仏仏辞書を使おうと思っても、
調べた語の定義に書かれているフランス語の説明にわからない語がある
↓
その語を調べる(半べそ)
↓
その語の定義にさらにわからない語がある
↓
以下エンドレス(号泣)
という、ぶっさいくなマトリョーシカを永遠に開け続けなければならないような、つらい拷問状態に陥ります。
「それも勉強だ」的な助言もありますが、今そんなことを言う人がいたら、あんな地獄のような状況で、しぶしぶ調べた語を脳が覚えているとしたらどんだけマゾなんじゃい、とグランロベールの角でぶっているところです。
なので、十分なフランス語力がなかったあのころ、仏仏辞書を仏⇔和の代わりに使おうなどとイキったことを考えてしまったのは若気の至りでした。
が(鼻母音)しかし、仏仏辞書は必要です。なぜか。
仏仏辞書は例文の宝庫だからです。
仏仏は、自分が仏文を書く時にお手本となる表現や言い回しがたくさん載っています。それを探すためのツールなのですYO!
2. 仏仏辞書ラインナップ(アプリ・電子書籍)
Le Robert (ル・ロベール)
メインで使うのは、やはりLe Robertです。
私がスマホに入れているのは、ずいぶん昔に買ったもので
Dictionnaire DIXEL Mobile ¥880 ? の誤りでは・・・?
なんですが・・・値段が・・・なんですかこの値段。買った時は確か9€ほどだったと思ったんですが、Appリンク先で、はっせんはっぴゃくえん・・・
GooglePlay では ¥880とあるので、たぶんAppが間違っていると思いますが、それで購入したら本当に8,800円請求来ちゃったら困るので、iPhoneの方は下の新版をおすすめします・・・
Dixel版はiOS 10までしかアップデートしてくれないので、そろそろ使えなくなりそうな気がしましたので、私も改めて↓をダウンロードしました※。
Le Robert mobile ¥720
※ Android 版は上のLe Robert Dixel mobile になります。
機能は抜群で、トップページのDictionnaire から検索をかけて目的の語を探せます。アップデートしてくれるので、新語もフォローしてくれる。有名な固有名詞もざっくりとした解説を載せています。(Android版は下のスクリーンショットより古いタイプですが、機能はほぼ同じです。)
仏英辞書アプリを紹介した回にも書きましたが、とにかく各語にリンクが貼ってあるので、先ほどのような検索エンドレスになるとしても、語をタップして飛び、ボタン一つ(画面下に◀▶マークが出る)で元の語に戻ることができます。音声も付いているので、発音も聞けます。
各語のProfil を見ると、名詞・形容詞は男性/女性/複数形の一覧があり、動詞の場合は過去形で使われる場合の助動詞、自動詞/他動詞が提示されます。
その他、シラブルの区切り、語の頻出度がゲージで表されています(検索一覧にもゲージがあります)。
動詞の場合は Conjugaisonのタブで活用一覧も確認できます(残念ながら活用表には音声がついていません)。
このアプリの真骨頂は、なんといってもSynonymes(同義語)とLocution(イディオム、成句)。作文を添削するときなんかも、もっと「はまる」言葉や表現はないかいな、と探すのに使います。(奇しくも)マトリョーシカのアイコンが可愛い !
Jeux (ゲーム)機能も付いていて、 Découverte は上からランダムに落ちてくる様々な語を「カゴ」に入れて、そのページを読むことができます。自分の語彙を増やしたい時に便利。トップページでもこの「語彙キャッチ」はできるようになっています。もちろん、調べた語は「À retenir」ボタンを押せば単語帳にとっておくことができます。
他にもANAGRAMとBIGRAMの2つのゲームができますし、スクラブルやクロスワードパズルのサポート機能などもあります。
フランス語をコアに勉強しているのでなければ、このmobile版があれば十分使えますが、仏検1級やDALF C1C2を目指しているとか、留学して専門的に学ぶことを考えているのであれば、でかい方のLe Petit Robert (←オクシモロン)を持っていると、文学者の格調高い例文も参照することができます。
Le Petit Robert de la langue française ¥3,200
※ Android 版は上のLe Robert Dixel mobile (¥880) のみとなります。
例えば、「オクシモロン(撞着語法)」のような修辞技法、専門的な語彙でさえ、文例にはプロの使用例が載っています。
« cette espèce de propreté sale — je ne trouve pas mieux que cet oxymore — [...] » (「こういった汚らしい清潔さ— これ以上の形容矛盾を私は見つけ得ないのだが —[...]」 )
というフランス人作家ジャン=クリストフ・バイイさんの作品からの例文。
(撞着語法は矛盾する複数の語を含んだ表現のことです。さっき「でかいLe Petit Robert」といったのが 「でかい」と「Petit」が矛盾するもので。マニアックですんません。)
でかいプチロベにはLe Robert mobileのようなゲーム機能はありません。また、同義語や成句は紙版のように、定義や例の中に混じって書かれています。もちろん、タップしてすぐにその語のページに行け、◀マークで戻れるところは一緒です。語源がトップに載っているのもありがたい。シンプルにして頼もしい!
※ちなみに、上の2つのアプリをセットで買うDuo Le Robert というのもあり、2つで¥3,400とお得です。
Duo Le Robert (Le Robert mobile + Le Petit Robert)
Android 版はありません。(ので、やっぱり語学をやるならiPhoneの方がいいのかも。iPadとも同期できるし、アプリの数も質もよいです。)
Larousse (ラルース)
ラルースは、いつも本屋さんで見かけているイメージでは、辞書というより百科事典という見方だったのですが、仏語辞書アプリも出しています。
Dictionnaire de français ¥720 (Android 版 ¥601 )
こちらも、一応アップデートはしてくれているんですが、UIが古いまま。というのも、La Petit Larousse (2018)をリリースしたからなんですね。なので、全体的に見づらくLe Robert mobile に比べると使いにくいです。
トップページは言葉当てクイズになっています。活用形、定義、音声が出ており、タッチするとそのパネルがひっくり返って答えの語が出るようになっています。こちらの方が、落ちてくる語をキャッチするロベールタイプよりも楽しいかも。
辞書検索は特筆すべきところはありません。ただ、定義ページの右上にある赤いラベルがシノニムやロキューションへのリンクなんですが、これをひっぱり出さなければならず、タップすると出てくるページがなんのページなのかが分かりにくい。
※ Android版はありません。
ラルースの最新版総合辞典アプリ。上のDictionnaire de français との違いは、絵や写真などが見られるというところ。
といっても、そんなにたくさんイメージが見られるわけではないので、ラルースのオンライン辞書サイト の方がたくさん見られます。特に百科事典ページ Larousse encyclopédie は面白い!
歴史上の人物とか、話題になっていることは仏検準2級以上を受けたい場合やDELF/DALF, TCFなどを受けたい場合は読んでおくといいです。無料だし!
電子書籍版(iBooks)辞書
最後はアプリではないんですが、仏検準2級以上を受けたい場合やDELF/DALF, TCFを受験する人は持っているといい辞書です。
Dictionnaire du français ¥3,600
Le Robert と教科書や参考書で有名なCLE Internationalという老舗がタッグを組んでFLE(Français Langue Etrangère)学習者用に特化した辞書。Le Petit Robertなどの一般向け辞書よりも例文の数を絞ってあり、解説も極力難しいレトリックを避けているので、仏検3級〜DELFB2程度のレベルにはイディオムを覚えるのに丁度使える辞書となっています。
ただね〜、この電子辞書版はほんっっっとうに使いづらい!リンクも検索も、どうしてこんな酷いんだ。できれば紙版を購入することをおすすめしたいんですが、紙版はまた高価なんです...
Dictionnaire Le Robert & CLE International (Amazon) (値段は変動するので↑リンクから確認してください)
Amazonでタイトルが正しく登録されていなくて、普通に探してもなかなか出てこない。国内で売っていないので、Amazon マーケットプレイスでアメリカかイギリスから輸入となり、ほぼ中古です。上記の電子版iBooksだと少し安くなるんですけどね…。
CLEの本はとっても良い本が多いんですが、やはり電子化の波に揉まれて鼻から水をジャブジャブ飲んじゃいながらも、なんとか必死で浮いている、といった印象。がんばってほしいな〜。
この辞書は語学学校でも、DELFを受けるクラスの学生たちが持っているのをよく見かけました。私はいろいろと手違いでいきなりDALFクラスに入れられ、それから大学入学まで怒涛の日々を過ごしてしまい、時は更に流れて、結局のところつい最近まで手にしたことはなかったんですが...
3. 仏仏辞書 紙版
紙辞書はLe Petit Robert (2008, ふっる...) と Le Robert micro pocheを持っています。
普通は上記で紹介したアプリが1個あれば十分ですが、わたしのような職業柄いろいろと調べたい場合は紙辞書も持っているといろいろ重宝しますです。
たぶん、ここまで読まれた(奇特な)方は「もうこいつただのオタクだろ」と思われることかと存じますが、真の「仏語好き」から言わせればまだまだです。
どんな風に使っているかっていうとですね、例えば
2017年の仏検1級大問2 (2)では、taillé en という表現が出ました。このtaillé はtailler(削る)という動詞から来ているのですが、 fait とか bâti と同様の意味で「 ...の身体つきをした」という表現をすることができます。問では
il est ( ) en athlète. (アスリートのような身体つきだ)
となっていて、( )に taillé を入れれば正解。
プチロワでは taillé en hercule [Hercule] しか載っていません。ロベール大先生(小学館ロベール仏和大辞典)もプチロワと同じ例文でしたが、 [en athlète, en force]とヘラクレスの代わりにこれも入るよ〜という補足付きでした。優秀。
で、ミクロくんを見てみたところ、ズバリ
Fait (du corps humain). Il est taillé en athlète. → bâti.
とありました。解説も分かりやすい。さーすがー!
…ってな感じです(楽しい)。
出題者の人たちは、どっからこういう問題を探してくるのかな〜っていうのを想像するのが楽しいです...スミマセン、なんか。
というわけで、まだまだ紹介しきれないんですが、これらの仏仏辞書を含めて、普段どんな風に辞書を使っているかについても、また書きたいと思います!
アビアント〜!