耳の横にスピーカー?新感覚イヤホン SOUNDPEATS RunFree
・はじめに
毎度おなじみAmazonのタイムセール祭が6/2~6/4に開催された。なんだかんだ少しでも買ってしまうセールだが、さすがにもう目新しい商品もないよなぁ……と思っていたけど、目に入ってしまったのがこのRunFree。SOUNDPEATSから発売された、いわゆる空気伝導イヤホンである。
・SOUNDPEATS
SOUNDPEATSはいわゆる「中華イヤホン」の老舗である。「中華〇〇」の産地、中国深圳市にて13年程イヤホン専業(最近はスマートウオッチも販売しているが)を続けていて、いわゆるきしめんケーブルのBluetoothイヤホン「Q12」がコスパの良さからAmazonのランキングで猛威を振るい、その後もPHILE WEBでおなじみ株式会社音元出版のオーディオビジュアル関連製品アワード「VGP」で毎年のように受賞を重ねて来た会社である。
個人的にはQ12の時点で当時は(今も一部)あやふやな「中華〇〇」の技適対応の中でしっかり技適確認が出来たためにSOUNDPEATSを使い出した。
※ 技適とは日本国内で使用出来るWiFiやBluetoothなどの電波発生機器の認証、技術基準適合証明と技術基準適合認定であり、基本的には通った証明の技適マークと番号が確認できないと国内使用は制限される。
……のだが、いつしかSOUNDPEATS商品が下の写真の状況に。まるでSOUNDPEATSの回し者のようだが、そうではない(笑)
・骨伝導イヤホンと空気伝導イヤホン
今回RunFreeを購入する前に骨伝導イヤホンを検討していた。上の写真を見ていただければおわかりいただけるように、イヤホンに関しては基本的に全てCOMPLYのイヤホンチップTs500(またはサイズ違いのTs〇00)を装着している。
外の音をしっかりカットしてくれるTs500。笑い話だけど、ちょっと音量上げているとタクシーのクラクションすらカットしてくれるのだ。顔見知りの運転手さんに「あれ聞こえないワケないだろう」と笑われる始末である。ノイズキャンセリングよりも安価で確実な効果があるのだ。車中泊で近くのディーゼル車がエンジンかけっぱなしの時の耳栓代わりにもなるし。COMPLYのイヤホンチップは確実にイヤホンの音を上位にして聞かせてくれる。
逆に、そこまで防音性にこだわると家で聞いていても、ちょっと部屋を離れるとインターホンの音が聞こえない時などがある。ながらには不向き。ならば外音取り込みモードのノイズキャンセリングイヤホンの導入が最適解なのかもしれないが、耳を塞がないものも使ってみたい。完全ワイヤレスあんまり好きじゃないし……
そう思って骨伝導イヤホンの導入を考えたが、どうにも「そこそこの音で高い」か「安いけど全然ダメ」な商品しか見たらない。そもそも骨伝導では低音は構造的にどうしても不向きだよなぁ……
そんな中で出て来たのが空気伝導イヤホン。いや、どんなイヤホンもヘッドフォンも空気伝導だろうが……と思うのだけど、こっちのほうが骨伝導よりは低音が良さそうだ。そう思って吟味していた時に、お気に入りのSOUNDPEATSから空気伝導イヤホンのRunFreeが登場したのである。
・RunFree
さて、実際に使ってみた感想は……
「え、普通に普通の音が出ている!」
いや、普通の音と言うだけで凄いのだ。耳の中に入れず、耳の穴を塞がずにしっかりと音が出ているのだ。遅延もさほど無さそう(さらにゲームモードもある)。コーディックはAACとSBCで、個人的に接続したのはWindowsPCとandroidスマホ(Pixel7a)なのだけど、そこそこに低音も出ている。もう少し欲しいと思ってPCの再生ソフトのMusic Centerのイコライザーを「フュージョン」設定にすると、若干低音が強いくらいに聞こえるのだ。音楽だけでなくYouTubeの会話なども自然に聞こえる。
もちろん耳は塞いでないので周りの音もちゃんと聞こえる。TVの音も、ドアノブを動かした時も、もちろんインターホンの音も。想定していた用途には完全に合致した製品だった。
WindowsPCの50%出力の音くらいだと30cmくらい離れるとほぼ無音に感じる。50%では音量的には音楽を集中して聞くには足りないが、動画音声ならOKだ。指向性が良く、ある程度の空間なら人のいる場所でも気にせず使えると思う。元々がランニングでの使用を主にした商品であるし、RunFree。
一応、マルチポイント接続というコトでそれも試してみる。「▶」三秒長押しで電源ON、ペアリングモードになってペアリングにするのでWindowsPCとandroidスマホをペアリング。次回電源投入時からは「パワーオン」「ペアリング」「コネクト」「コネクト」とアナウンスされて二台同時で接続される。
なお出力音声の切り替えは筆者の環境ではandroidスマホ→WindowsPCの場合は両方接続・再生状態ならandroidスマホの一時停止でWindowsPCの音声に切り替わる。WindowsPC→androidスマホの場合は一時停止では切り替わらず、WindowsPCの出力スピーカーの選択をRunFreeから別にする必要があった。
※ 使用ソフトはandroidスマホが「jetaudio+」WindowsPCが「Music Center」OSはandroidスマホが「android13」、PCが「Windows 10 Home 22H2」である。PCはUSBのBluetooth5.1アダプターで接続。
装着感はもちろん若干の異物感が耳の上にあり、スピーカー部の圧迫感もあるが、気になるほどではなく、重量もほとんど感じない。イヤホンやヘッドホンから比べれば半分以下の違和感ではないだろうか。半日くらい付けていても問題ない。というか、常時付けていてもいいくらいの感覚である。
・アプリ
6千円台のイヤホンだけどしっかりスマホアプリに対応している。そのままスバリ「SoundPeats」の名前でGoogle Playからダウンロードできる。
インストール後はメールアドレスとパスワードの登録が必要。
SOUNDPEATSの最近の製品に対応していて、RunFreeでは電池残量確認とボリューム調整、アダプティプイコライザー、イコライザー(各種プリセットとカスタマイズ)、ゲームモードのONーOFFが可能だ。
アダプティプイコライザーは使用者の可聴範囲から最適化するようだけどRunFreeではちょっと聞こえにくいので最適化が難しそう。
イコライザーはプリセットが9種類、カスタマイズは周波数8か所を動かしてて、それをなめらかに自動調整してくれる。
ゲームモードは出たばかりのストリートファイター6で使ったけど、ゲームではよくわからず、キーボード(CT-S1000V)のピアノの音で確認。ゲームモードONだとOFFの遅延の半分くらいでピアノが弾くのがかなり難しいくらいのレベル。OFFだとピアノを弾くのは無理レベル。コーデックがapt-Xではないのは残念だが、SBCでもBluetooth5.0以上だと昔のような遅延はない様子だ。
・おわりに
最近のSOUNDPEATSの他のLDACも対応している製品群、他の有名メーカーのカナル型やインナーイヤーの同価格帯製品に音質では叶わない。だが、骨伝導や空気伝導というオープンイヤーでここまでの音が出るのかという超コスパ製品。すでにVGP 2023 SUMMER で金賞・企画賞を受賞済だ。
※ reddot winner 2023というデザインアワードも受賞している。
日常使い、ながら使いにおいてこれほど使いでのいい製品もそうはないだろう。構造上、寝て使うコトは叶わないが、ほぼ一日中つけっぱなしでも良いくらい(バッテリーは公称14時間)。
外の音も音痩せなどなく普通に聞こえて、移動してもステレオ定位が破綻しないスピーカー。低音もしっかり。なにせ今、これ書きながら聞いているのがJBプロジェクトの、世界の低音番長であるブライアン・ブロンバーグの、ウッドベースのサウンドなのだから。
※ Music Centerのイコライザーは「フュージョン」設定+写真のカスタムEQ
耳の横の空間にイヤホンじゃなく普通のスピーカーを浮かせているような感覚のものなのだ。
普通が一番難しい。普通に普通の音を普通の世界の音との断絶するコトなく聞かせてくれるRunFreeはSOUNDPEATSの新しい定番商品なのかもしれない。
え、SOUNDPEATS最高峰のOPERAシリーズがそろそろ通常販売されるんじゃないかって?いや、それも買うよ、多分……