
ダボス会議でのトランプ演説を聞きながら
テクニカルな部分で3つ。
1)質問に答えず議題をすり替えて自分の主張を続ける。
2)基本就任式で述べていたことと同じ内容。
3)言葉遣いが悪い。
要するに相変わらずのトランプさんだった、という事だ。
質疑応答で聞かれた事にしっかり答えず、議題をすり替えて自分の主張を続ける様を不快に思う人は多いと思うが、知らない事を正直に「知らない」と言い切ってしまうよりはその人のcredibility(信頼性?)に於いてダメージが少ない。(トップのくせに)知識が薄いと批判する人も居るが、細かいデータや過去の事例を持ち出して説得口調で話す人よりも方向性をクリアに示して自信をもって話してくれる人の方が、後から着いていく身としてはやりやすい。
同様にブレない姿勢もリーダーという仕事をしている以上、大事なファクターだと思う(もっとも就任4日目でブレられては困るが)。就任式で述べたあの内容を国際会議の場で同じように述べるのはなかなかガッツがいるなぁ、と思ってしまうが、多分彼は何の躊躇もしていない。あの鈍感力というか自己愛というか自信過剰というか、、、は凡人には真似できない。彼が就任式で宣言した事の半分位はそのまま「茨の道まっしぐら」。そう簡単には達成できないと思うので今後彼がいつまで同じ事を同じトーンで言い続けられるかが興味深い。一点、先日の関税比率の話も含めて中国に対するトーンが和らいでいるが、これはTikTok問題と併せてこの後習近平と交渉する為、軽いジャブを打つに留めていると解釈している(というか期待している)。先ずは多少ぶったたいても大ゲンカにならない友好国相手に厳しい話をしているのも、その一方で中国を威嚇しているという側面があると思っている。
トランプさんの言葉遣いについて、池上彰氏が「中学生レベルの英語」と言ったとか言わないとかだが、恐らく下位8割のアメリカ人の英語力を無理くり均してみれば実際彼らの英語力は中学生レベルだろう。戦略的にはむしろこれが正解。仮にトランプさんの英語力が本当に「中学生レベル」だったとしても流石にスピーチライターが居るだろうからその辺はちゃんと上方修正するだろう。ただ、彼がアドリブで使っているのではないかと疑う単語/熟語がいくつかあったので記しておこう。最初の3つは全て意訳すれば「馬鹿げてる」という意味だから流石に公式の場で連呼するのは品が無いと言われても仕方ない。
1) ridiculous
2) nonsense
3) insane
4) horrible
5) never before/ ever before/ in history
大分前から「アメリカは世界の警察官ではなくなった」と言われているが、遂にアメリカは警察官自体を辞めてしまったんだな、と思いながら彼の30分間のスピーチを聞いていた。そう考えればトランプさんの言動にもそれ程違和感を覚えない。ただオレらはこれからそういう世界に生きるんだという事は認識しておいた方が良い。