青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない (電撃文庫) 著鴨志田一
【こんなにも、今、君が悔しいのは勇気を出して踏み込んだ証拠】
いつの間にか二年生の三学期を迎えた咲太は、妹の楓の大きな決断と未来へ踏み出す一歩を応援する物語。
思春期症候群を患い、ろくに学校に通う事が出来なかった楓の切なる願い。
それは、兄と同じ高校に通う事。
無謀に見えるその願望もやれるだけやってみる事に意味がある。
自分には無理だと諦めていたら何も掴めない。
それから、咲太に教えを乞い、必死に勉学に勤しむ楓。同調圧力を強いる世界に無自覚に傷付られる現実。
一度失敗してしまうと、ただ普通に生きるのがこんなにも苦しいのか、まざまざと痛感させられる。
それでも、自分の裡から湧き出た小さな願いを叶える為に、悔しさも飲み込んで楓は精一杯に足掻く。
艱難辛苦の試験を乗り越え、悔しさを糧に更に楓は成長するのだ。
ようやく学校に通うという皆とのスタートラインに立てた楓は幸福への第一歩を歩み出せるのか?
次巻も須らく楽しみである。