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新たに入手した古いアンプとスピーカー。(オーディオのお話)

何号か前に紹介しましたが、世界的に有名になりつつある(!)ナカミチの蒐集家がいます。まぁこの方もすんごい勢いで変態です。とうとうご自身でナカミチに関わるご商売を始めるということなので、ワタシも早々にアンプをお世話して頂きました。


*変態さんはこのヒトです。

いきなり紹介しますが、変態さんはこのヒトです。

ホームページはコチラ。
https://tn-soundtech.com/

いつも書いておりますけども『変態』と『普通』という単語は、ワタシにとって最大の褒めワードです。両極な状態を指しているようでいて、実は共に目指すべき目的地なのですよ。

ヒトはどうやったって死んでしまいます。生きているその数十年の間に、これだけの執着心と集中力と愛情をもって取り組める事案に巡り会えたヒトは相当な幸せ者だと思います。そういうヒトが変態さんに変態するのです。

深く興味を持ってしまって、それについての探究を『もう、やる!』と決めたら、ブレちゃいけません。そういう猪突猛進なヒトが最終的に讃えられるのです。物事を継続して学ぶことができるというのは、とっても大きな才能です。ワタシなんか飽きちゃってばっかり。ダメなヤツだ。

キチンとしたエレクトロニクスの技術者が、こういうニッチな物を自身で蒐集してして探究する。必要に応じて適切なメンテナンスを施す。そしてソレを求めるヒトに提供してゆく。これは超絶なハッピーループです。

『どうしてこのヒトはナカミチの変態になってしまったのか』を知りたくなったワタシは、まずアンプを仕入れてみました。これから自分が使っていくアンプを探していた時期でもあったので、ちょうど良いタイミングでした。



*Nakamichi IA-2。

お世話になったアンプはコレ。
先のWEBサイトによれば、この機種は正式にメンテナンスを受付けてくれる対象のモデルではないのですが、その辺は相談に乗ってれるようです。

正面の図。


1993年に300台だけ限定生産したプリメインアンプ。当時の価格は¥75,000だった模様。

背面の図。
フォノイコライザー内蔵。
この頃はまだソースとしてテープが存在していた。
スピーカー出力は2系統で、それぞれon/offが可能。
コレがワタシにとっては大変に便利な機能。
でもバナナ端子が刺さらなかった。
90年代って、バナナ端子使っていなかったけかなぁ。
電源ケーブルは『生えちゃってる』タイプ。
今の機器みたいに好みで差し替えができない。
で、ちゃんとMade in Japan。
メンテナンス完璧!
下段の『サービスマニュアルに基づく・・・』がキモ!

ナカミチの正規サービスマニュアルを持っているヒトなので、こういう希少な個体のメンテナンスも万全です。



*音はどうなの?

幸いなことに、ワタシはナカミチというメーカーが実在していた頃からこの業界で仕事をしているので『えー、そんなメーカーは知らなーい』とは申しません。

しかし身近で接する機会が多かったのは、カーオーディオのナカミチ製品でした。なのでホームユースの同社製品を自身で所有するのは初めてです。

20代の自分が勝手に思い込んでいた印象が、そのまま残像していたのでしょうね。『割と濃ゆくてクセのある音色特性』を持っているメーカーだと、そんなふうに認識していました。

だけどIA-2が出力する音を聴いてみたら、あれ?認識と全然違うぞ!なんかね、スッキリしてる。解像度が高いというか天然水みたいな印象。もっとミッドロー辺りがモリモリ来るのかと思っていたら、良い意味で肩透かし。あれれ、こんなにスッキリさんだったの?

ウチの事務所オーディオ。金満感ゼロ。
でもこのようなシステムで、
音源制作やリマスター仕事をやってます。
井筒香奈江さんの音源も『蜜蜂と遠雷』も、
こんなシステムでモニターしているのよ。

いわゆる『とても普通な音』を出力するアンプでした。

良い機会だからと、IA-2導入と同時に他機器の給電経路やシグナルケーブル交換とかイロイロな事案をやり直してしまったので、現時点ではアンプ個体の特性を完全に把握できておりません。もうちょっと時間をかけてナカミチさんのことを知っていこうと思います。でも第一印象はなかなか良好でした。

こんなイジクリから、徐々にムクムクとナカミチの変態さんは生まれたのかな?はたまた最初からバキューンと撃ち抜かれてしまったのかな?ひょっとするとワタシにも変態が感染するのかな?



*で、コレもやっちまった。

ある意味ではワタシもスピーカーの変態かもしれない。小さい個体が、またやってきてしまった。

REVOXのPiccolo Mk2。
西ドイツ製ですね。
RFさんのステッカーも懐かしい。
黒側端子が破損中。どうにかする。

ウチのデスクトップスピーカー、3度目の入れ替えですな。Harbeth P3ESRからJBL Control 1 PlusからREVOXへ。

L:マーチンくん。
R:シェルポンタくん。
C:レゴなベスパくん。

で、この小さいスピーカーがまたスッキリした音なのですよ。結構ハッキリとモノを言うヤツ。ワタシにとっては大変に好ましい音色だし、密閉型エンクロージャーだから机上の収まりもよいカンジ。しばらく使ってみます。



*もうなんでも良いのか?

ウチの事務所、メインスピーカーはJBL 4301Bだけど、ソレ以外の機器が割とコロコロ入れ替わってる。不動のはずのP3ESRは現在お休み中だけど、愛は消えていないからね。

中央下段にあるスピーカーは楽器用のJBL E120です。
サブウーファーじゃないからね。
左の奥の方でP3ESRが休憩中。

ふと思った。オーディオ機器に関してワタシは、
『嫌悪感を感じないモノなら、もはやなんでも良いのかもしれない』と。

音楽とオーディオは趣味ではないのでね。『ああ、コレはこういうカンジなのか』って理解すると納得できてしまう。ソレはソレで知識として吸収して、嫌いなカンジでなければそのまま使い続けることができる。そういえばヘッドフォンもAKGとSENNHEISERとSTAXを普通に使い分けてるもんな。

だけど趣味のモノは、そうはいかないのです。
ワタシの場合はバイクとかカメラとかね。イロイロ知りたくて、実際自分にはどれが合うのか、ウロウロずーっと探し続ける。コレをビョーキといいます。ワタシはもうだいぶ治ったけど。

趣味でオーディオを楽しんでいるお客様には『スピーカー選びは命懸けですよ、おいそれと入れ替え出来ませんからねっ!』なんて言ってるくせに、自分ではコロコロと入れ替え。でもそういうモンかもしれない。コチラ側としては『どれだけたくさんの個体特性を知っているか』がキモですから。

ということで、しばらくはNakamichi IA-2をイジクリつつ、4301BとPiccolo Mk2で音楽を楽しんで聴いてみようと思います。変態さんが変態さんたる所以も見えてくるかもしれない。コレはワタシにとっても学びだぞ。

後日またインプレッション続編を投稿しますね。

ではまた。
2024.2.28(うへー2月も終わってしまう)

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