第二回18切符旅 後半戦
<二日目>
本日は本州最南端・串本から熊野大社のある那智、新宮、松阪を経由し、滋賀県の津まで。
和歌山県の新宮は三重県との県境で、日本にいくつかある徐福伝説(秦の始皇帝の命で不老不死の妙薬を探して徐福がたどり着いた)のひとつ。
特急くろしおの始発駅でもある大きめな駅なのだが、辺境の地というかとにかく遠くて不便、のイメージが強い。
実際には数えるほどしか訪れたことはないので定かでないが、電車の本数が少ないことは事実。田舎にしてみれば1時間に1本はあるのでマシな方かもしれない。
最終目的地・津に行くには朝6時半の電車に乗る必要がある。それを逃すと一気に3時間後、9時半の電車になってしまう。(7時〜8時台も電車自体はあるが、新宮で足止めを食うので結局同じ到着時間になる)
当初の計画では近くの喫茶店でモーニングでもしばいて、のんびり9時半の電車に乗るはずだった。観光目的で先を急ぐ旅ではないし、到着が遅くなっても問題はない。
のだが、前日の混雑具合にちょっと日和って6時半に出発することにした。
だって乗車時間は約6時間。
できれば座席は確保したい……!!(もちろん譲るべき時は譲るよ)
というわけで早朝、串本を出立。
海辺の6時半、既に太陽は高い。
出発からしばらくは海岸線を走る為、美しい海、まっすぐに伸びた水平線を眺めることが出来る。途中には国の名勝天然記念物、橋杭岩も。
夏の太平洋はとにかく燦々と太陽の日差しを浴びて、底抜けに明るい。気が塞いでいたり落ち込んでいたり、そんなときでも「なんとかなるさ」と根拠のない励ましを感じる。
これが陽キャってやつか……。
本日の串本→新宮→多気→津の経路は、乗り換えが少ない。早くに乗ったおかげで乗客も少なく、気を使わず座っていられる。
ので読書に集中できそう! だったのだが。
また寝落ちしてしまった。
フッと意識を飛ばして、いかんいかんと目を覚まして、またいつの間にか落ちている。
そんな繰り返しで、この日もあまり進捗ははかばかしくなかった。
結局、津駅に到着して宿にチェックインするまで喫茶店で読んでる方がよっぽど捗ったのである。うーん。
初めて訪れた津駅は、思っていたより寂れ……いや、静かな印象だった。
おそらく日曜日だったのが大きいのだろう。
JRの他、近鉄や伊勢鉄道も乗り入れる大きな駅であり、なんてったって県庁所在地である。
そう、たまたま人がいなくて店が閉まっているだけだ。
行こうかなと思った店がことごとく閉まっているのは、日曜だからだ!
18切符読書旅2回目で分かったことには、腹が減らない。
旅先で美味しいものを食べるのは旅の楽しみの一つだが、ただ電車に乗っているだけだとなかなかはっきりと空腹にならない。
かといって食べないという選択肢もないので、結局コンビニだとかチェーン店だとか、普段とあまり変わらないどころかなんならより貧相な食事になってしまう。
まぁ、グルメ目的というわけでもないから良いんだけどサ。
翌日は、前回旅と似たような経路(津→奈良→大阪)を辿って大阪へ帰還。
月曜日ということもあって制服の学生が大勢。
土日は観光客が多いが、平日は普通に学生と社会人。そらそうよ。
途中、忍者で有名な(?)伊賀市を通過。
風景は山と田んぼばかり。
水田の稲は前回見たときより黄金色に色づき、所々刈られている。台風の被害も受けず無事収穫出来たのだろう。これから新米が並んでようやく米不足が多少なりとも解消するかと思うと嬉しい。
変わった地名があったり、山中で不意に視界がひらけたり、電車の旅は案外飽きない。ちゃんと知らない土地に来たなぁと思う。
昼過ぎ、大阪へ無事帰還。
これにて第2回青春18切符旅終了。
青春18切符✕積読本旅、2回の体験で学んだこと少し。
まず体調は整えておくべき。
当然といえば当然過ぎる基本なのだが、普段の旅行であれば前日寝不足であったとしても「移動中に寝ればいいや」と考えがち。
しかし18切符旅では移動こそ肝。電車の揺れに心地よくなってウトウトしている場合ではない。
次にご当地グルメは過度に求めないこと。
先ほども書いた通り、電車移動のみなのであまり空腹を感じない。
空腹でなければせっかくのご馳走も有り難みが半減してしまう。
いつものようにあれもこれもと欲張らず厳選、もしくはすっぱり諦めたほうが良い気がする。
最後に期間を空けること。
前回の旅から2週間のインターバルであったが、ちょっと短かった。
旅とは非日常を楽しむものであり、スナフキンのような旅人でない一般人には「旅が恋しくなる」だけの日常の積み重ねが必要に思われる。
青春18切符の使用期間はおよそ2ヶ月(夏は7/20〜9/10)。
周囲の混雑具合も重要だが、使用期間の前半と後半で時間を置いたほうがより楽しめるだろう。
例年通りであれば次に発売されるのは冬(12/10〜1/10)。
ぜひともまた同じような旅をしたいけれど、寒い時は移動が辛いので冬はないかな……。
読めた本の数は少ないが、感想文は改めてまとめるつもりである。
完!