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権力に屈する

前の仕事を辞めるきっかけになったのが、
理不尽さを猛烈に感じ
とてつもないストレスを感じたからです。

その出来事を。

職場は、カウンターの天ぷら屋で、12席ほど。
2階(最大20名程)があって、基本的には使わず、
貸し切りの予約で使う程度。

とある日、ラストオーダーも終わり片付けに取り掛かろうとしていた時に
突然の電話。こんな時間に変だなぁと思いながらも出てみると、
この店の大家さん。75歳ですがバリバリ仕事をしている人。
ある会社の会長です。

会長 「今から20人いける?」

聞き間違いかと思ったので

僕 「すいません、何名ですか?」

会長 「20人」

僕「いや、流石に20人は無理です。スタッフも揃えてないし食材も・・・」

心の中では『てか、そもそもラストオーダー終わってるし』
って思ってました。

会長「料理はいらんねん。今食べ終わったから。
無理とかじゃなくて、2階会いてるやろ?10分後に行くし頼むわ」

こちらの状況を整理すると、まだカウンターにはお客様がいます。
ラストオーダーは終わったとはいえ、コース料理の途中です。

でも、有無を言わさず来るというのでやるしかありません。

2階の冷房をつけ、椅子テーブルを並べ、おしぼりを置き、ドリンクの準備。
そもそも20人分のドリンクなんか準備間に合わない。

そして会長御一行様が到着。明らかに20人以上いる。
若い女性も数人いる。

最初は瓶ビールでお願いしたが、すぐにハイボールやら酎ハイやら。
結局27人いて、一人一人のオーダー聞いてたら遅くなる。

そしたら若い女性がはりきって

「あの、ウイスキーと氷と炭酸くれたら私たちでやりますよ!持ってきてください!」
「瓶ビールもここにまとめて置いてくれたら栓抜いて持っていきますんで!」
「冷房ってこれが限界ですか?」

いや、違うそうじゃない。
飲み放題の店じゃないし、そもそも瓶ビールもう冷えてないねん。
てか、グラスすらないんだけど・・・
10分で涼しくなるかよ。京都の暑さなめんな!

って思うんですが、この方達に非はないんです。
この店がどういう店で、どういう状況か知る由もないんで。

こんなカオスな状態でも、
皆さん、やっぱりなんとかしてしまいますよね?

とにかく頭フル回転、走り回って、
やっと落ち着いた時ですよ、

会長「何か、つまみないんか?」

『いやいやいやいや、料理いりません言いましたよね?』
と思いつつ、言ってきそうな感じは予想できました。
なので

僕「料理は流石に準備できません。それは無理です。」

と答えたのですが

会長「料理はええねん、乾きものとかコンビニにあるやろ?ちょっと買うてきてや」

この一言で、心折れました。
それからは無になってしまい

僕「・・・はい」

不貞腐れました。買い物行くにも走れません。
コンビニに行く道中、多分泣いてたと思います。
やるせなくて。
でも、最後までやり通しました。
もう二度とやるもんかと思いながら。

経営者ならこの27人の売り上げは嬉しいでしょう。
でも、従業員からするとストレスでしかなく、1円も自分の利益にならない。もっというと、この売り上げの数%は会長のところに入る(大家さんだから)。
しんどい思いをしてやり遂げたことが、全て他人の利益になる。

結局、権力のあるものには逆らえず、屈するしかない。
雇われるってこういうことなのでしょうか?
別に僕は商売がしたいと強く思っているわけではないのですが、
消去法で、結局、自分でお店をもった方がいいのだろうか?
という、気持ちになりました。

だから辞めました。自分でお店はやりませんが
今のところでは人生つまらなくなるので。

もう二度とこういう人の元では働きたくないです。

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