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2023年印象に残っている本

読んだ本をさらすということは、今どんな心情なのか、どういうことを求めているのかがばれてしまうので、恥ずかしいことのようにも思う。

ただ、社会人になっても「同じ本を読んでいる」という事実それだけで、やっぱり人は近くなれるということを感じたことがあり、読んだ本を書き記しておくということはどこかで役に立つのではないか、という想いもありここに残しておく。


※ですますで書くとどうも仕事モードになってうまく書けなかったので、やめちゃいました

2023年読んだ本(再読も含みます)

もしもし下北沢:吉本ばなな
キッチン:吉本ばなな
ミトンとふびん:吉本ばなな
はーばーらいと:吉本ばなな
「違うこと」をしないこと:吉本ばなな
自分を愛すると夢は叶う:吉本ばなな
ジョンとばななの幸せって何ですか:吉本ばなな ジョン・キム
都市空間の中の文学:前田愛
場所の現象学:エドワード・レルフ
表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬:若林正恭
名作の食卓:大本泉
卵の緒:瀬尾まいこ
ライオンのおやつ:小川糸
ものがわかるということ:養老孟司
THINK A MONK:ジェイ・シェティ
ひとり広報の教科書:井上千絵
「売る」から「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義:水野学ぶ
戦略PR:本田哲也
星占い的思考:石井ゆかり
ノルウェイの森(上):村上春樹
ノルウェイの森(下):村上春樹
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(上):村上春樹
世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド(下):村上春樹
広報・PRの実務:井上岳久
汝、星のごとく:凪良ゆう
流浪の月:凪良ゆう
正欲:朝井リョウ
ヘヴン:川上未映子
光のとこにいてね:一穂ミチ
窓ぎわのトットちゃん
スモール・ワールズ:一穂ミチ
光のとこにいてね:一穂ミチ
黄色い家:川上未映子
幸せへのセンサー:吉本ばなな

印象に残っている本①もしもし下北沢

この本を読んだ直後に、東京旅行へ行っていることもあってめちゃくちゃ印象に残っている。吉本ばなな作品には「死」が多く描かれているけど、もしもし下北沢に描かれている死はかなりリアルできついものがあった。

でも、この作品の中で主人公はまちにだんだんとなじんでいって、まちそのものや人に癒されていく、その過程を見ていて私も心が癒されるような気持ちになった。

実際に直後に行った下北沢では、「もしも下北沢」の追体験をした。そこでいろいろ思ったことや感じたことが「私が感じた」のか「よっちゃん(主人公)が感じたとから借りた体験」なのかは正直わからなかったけど、文学の力を借りて色んな場所へ行くと、当時何をしても怖くて感情が薄かったけど、少しは素敵な出来事に意識を向けられるという希望を感じた。

何も考えずに生きていると、チェーン店ばかりに足を運んでしまったり(チェーン店も素晴らしいところはいっぱいあります)、素敵なお店とのめぐり逢いがあったとしても、だれが営んでいるか知らないまま日常を過ごしてしまう。
この作品は、人がお店を営んでいて、そしてその集合でまちが作られている、そんなことを考えさせられる作品だった。

印象に残っている本②星占い的思想

星占いなんて所詮星占いだけど、各星座をストーリー仕立てで紹介してくれて、納得をせざるを得ないような内容だった。

私自身は太陽星座がみずがめ座で、月星座がやぎ座で、この本をみて自分の生きづらさみたいなものを認めてあげることができた。

みずがめ座は一か所にとどまりたくない、とにかく自由で平等で独創的な星座なのに、やぎ座は現実的な感覚を大切にする「地」の星座で伝統を重んじる。この相反する二つの星座を1人で抱えてるんだから、破壊したい衝動と安定を求める気持ちのせめぎあいでずっと苦しかったんだなって笑ってしまった。

そういう風に、自分が楽になれるように活用できたから、これはこれでとても良かった。

印象に残っている本③ノルウェイの森

村上春樹の小説を読んだのは意外にもこの作品が初めてだ。
といっても、紙の本で呼んだわけではなく、オーディブルで妻夫木聡さんが呼んでくれると言うから手を伸ばすのにためらいがあった村上春樹の本を読む(聴く)ことができた。

正直、村上春樹独特の文体というか、登場人物の口調に慣れるのに時間がかかった。

ちょっとネタバレを含むので嫌な人は飛ばしてほしいのだけど、精神的な問題で施設にいるのはナオコとレイコさんだけだったけど、登場人物みんななにか様子のおかしい部分を持ち合わせているなと感じた。

しかし、改めて考えてみると様子のおかしい部分というのは誰からの視点なのだろうという疑問が残った。
自分はあまりにも型にはまりすぎていて、それが当たり前になっていて普通から逸脱することについて敏感すぎるという気づきもあった。

世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランドにも共通するけど、登場人物(特に主人公)をどうしても好きになれないというか、イライラしてしまう部分がある。
その本質は、人って(自分も含め)こういうところあるな、というのをまじまじと見せつけられるから腹がたってしまうのかもしれないな、と感じた。

印象に残っている本④正欲

この小説が好きか嫌いかでいうと、嫌い。
多様性やダイバーシティという言葉の持つ残虐性とか、そういうものについて考える必要があるよという指南書ともとれるのだけど(その点においてはこの小説は良いものかもしれない)、それ以前になかなか登場人物に対して感情移入がしにくかった。

「多様性を認めましょう」という言葉があるけど、そもそもなんで認められなきゃいけないんだ、とか、自分の癖とか、知ってもらいたい人にだけ知ってもらって、それ以外の人にどうこう言われる筋合いはなくないか、というのがふつふつと湧き上がってきた。

印象に残っている本に入れた理由としては、この小説の本質は「意見をもつ」というところにあるのだと思った。この小説を読んで、普段から何となく思ってたことが、より自分の中で言語化された。

印象に残っている本⑤ヘヴン

この小説を読み始めてすぐに、「あ、これは自分にとって辛い読書になるな」というのが最初の感想だった。
この物語は「いじめ」というのがテーマだった。

あまりにもひどい描写がたくさんあって、多くの読者が思ったであろう通り「どうして逃げないのか」と一旦は思ったが、そう簡単ではないということも理解していた。

いじめられている側は今置かれている状況が生活(や思考)の中心になってしまうから、あれこれ考えて「いじめられていることに何か意味があり、これを乗り越えることが大切だ」という哲学を持ってしまったりする。

しかし、いじめの加害者は(女の子同士だともう少し複雑だろうけど)「したいからする」だけであって特にそのことに意味はないし、振り返ったりもしない。
私自身も、どうしてああなって、自分の何がいけなくて、今の自分に対してあれがどういう影響を及ぼし形作ったのかとたびたび考えてしまう。
そのたび、私の今生きている姿で少しでも感情を揺さぶれたら、、、なんて馬鹿なことを考えてしまう。

この小説のメッセージは「耐えなくていい」だと思った、
自分を傷つけてくる相手からはどうにかして、自分から離れたほうが良いし、苦しむよりも先に彼らを遠ざけるようにすること。
それは逃げではなく、当然のことだと思う。

おわりに

多少言葉が幼稚だったり、感情的だったかもしれないけど、本の役割は他のだれかの物語を借りて自分だったらどうだろうと考えるきっかけをくれるものだと思う。

読みすぎて他人の意見の寄せ集めで自分ができてしまうということに対する恐怖心はあるけど、誰の意見も知らずにただ「こうである」というのもまた違う気がする。

ただ小説が言わんとしていることをそのまま受け入れるのではなく、しっかりと自分の中で精査したうえで意見を持つことはとっても大切なことだと今の私は考えているので、来年は40冊を目標に本を読むということをしてみようと思う。


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