33歳独身女糖尿病、家買うってよ ~プロローグ~
世間は外出自粛も明け、電車は今まで通り混み合い、繁華街は活気を取り戻し始め、空いているのは規制されたディズニーランドのアトラクションくらいなのか、という2020年7月。
33歳の夏、友人たちと東南アジアのリゾートにでも行って、お肌のシミを気にしつつ思いっきり太陽を浴びたいと思っていたが、気づけば在宅ワークが継続で平均3,000歩の美白生活を送っている。
私が働いている会社では、無期限の在宅ワーク推奨を言い渡され、会社内でもフリーアドレス化をすすめる方向性に打って出た。
もともと休日は家で20時間耐久海外ドラマ鑑賞とか、超巨大イラストロジックに黙々と取り組むのが好きな人間だったので、在宅はこれ幸い!ずっと家にいていいだなんて私にとっては天国です!と思っていた。
3月末から切り替わった在宅ワークで、家で働きやすい環境を作ろうとモニターを購入したり、キーボード、クッション、肘おき、熱風ノンフライヤー、レンジ台、研ぎ石、カレースパイス各種…
しかし、どんなに快適グッズを購入し、環境を整えてもどうにもならない問題を抱えていた。
家が狭すぎる
32歳の春、このままでは結婚できるできないの問題ではなく、老後生きていけるのか?という懸念を持ち、一念発起して長年住み慣れた実家から出て、一人暮らしを始めた。
小さい頃からダンボールの中が落ち着くタイプの人間かつ、できれば家の中では動きたくない冬眠中のくまのテンションとして、千葉県の一軒家は広すぎたので、東京の狭小マンションへとえっさほいさと出てきた。
一人で暮らすには十分だろうと借りた我が家だったが、すぐモノを溜め込むタイプの人間である自分の特性を思っきし忘れていたのでモノで溢れかえっている。ただ、それでも正直暮らしやすい広さだなぁと思っていた。家にいる時の9割5分はふかふかのベッドで過ごしてるんだもん、床面積なんていらないぜっ!
しかし、この在宅ワークを開始すると、1日の大半はひとりがけソファのオットマンに腰掛け、85×50cmのテーブルにてモニターをノートPCにつないで横にiPadをセットして、キーボードを置いて仕事。食事のときは諸々脇に寄せて、同じテーブルで焼き肉を焼く…。
そろそろ限界である…
引っ越して丸1年、私には新たな巣が必要だ。
やっぱりワークスペースはほしいから、最低でも1LDK以上、場所も住みやすい場所がいいよなぁ、高いなぁと思ってたら、思いついた。
そうだ、家を買おう
自慢じゃないが、全く貯金ができない。欲しい物があるとすぐ手を伸ばしてはものを溜め込み、エンタメをこれでもかと貪り、美味しいものがあれば、冬眠中のくまでも翼が生えたのではないかってくらいの軽さでお口にお迎えにいく。新種の生物発見レベルである。するってーと、不思議なことに、諭吉さんにも翼がはえるんだなー、この翼もしかして寄生虫?
幸いなことに借金してまでということにはなかったが、33歳。もう誰かの財布をあてにした老後を期待するくまさんではないのである。老後2,000万円問題とかもう、無理…
でかい貯金箱を用意だ!
そうだよ、貯められないならもうおっきい貯金箱買っちゃえばいいんじゃない?そうじゃん!すごい、私天才!!
ということで、おうちを買うことに決めました。
正直、独身で家買うのとか、結婚する気がなくなったのでは?今後も仕事に生きるの?と思われたりするんかなーって思ったり、本当に私が買えるの?って思ったり不安でいっぱいだったけれども、やるって決めたら動かないとまた冬眠状態に入ってしまいそうだからということで、不安はあとから考えるにして、物件探しを始めたのである。
33歳の夏、私またひとつ大人になります…
このあとに待ち受ける予想外の大変さは、また別の機会に…