『私とエビ中』の作り方
文章を書くのが好きでとても苦手です。人に見せるものなんてもってのほか。
オタクの書く文章が好きです。沼にハマった経緯を書いてくれる文章はもってのほか。
これはそんな私が、オタクのオタクによるオタクのための本を作らせてもらった話。
とにもかくにも私的なとんでもなく長い話になるのでお時間のある方はお付き合いください。
お時間のない方はお礼だけ読んでもらえたら嬉しいです。
1.「沼にハマった経緯をまとめた同人が読みたい」とぼやく
時は2023年4月15日。春ツアー初日松戸公演…ではなく終演後の感想会には春ツの興奮冷めやらぬオタクたちと仕事で公演に間に合わなかったオタク2名がいた。私とゆみずさんのことである。
お初にお目にかかりますのオタクが多い会だったからか、いつハマったの?なんでハマったの?なんて話をしたような気がして、その時「オタクが沼にハマった経緯を一冊にまとめた同人誌が欲しい」とぼやいた気がする。「ないなら作りましょ!」とゆみずさんが言った気がする。これにより初日公演に行けなかったオタク2人による謎企画がスタートした気がする。
我々の春ツ解禁日TDC公演を見てそれが本気になったのは間違いない。
2. これがきっかけでハマったを合格体験記風にまとめる『私立恵比寿中学入学案内』案が出る
当初のゆみずさんの企画は『私立恵比寿中学入学案内』のタイトルでオタクにインタビューをする…だった。それがいつのまにか転がって「私立恵比寿中学とは〇〇である。」の文頭だけ統一した3000字の文章をオタクに書いてもらおうになった。その時点では風土、沿革、年間行事、エビ中PR(これが本文)を載せたパンフレットになる予定だった。
3.書き手の皆さんへオファーを送る
GW中に書いてもらいたい人たちにオファーをかけた。声をかける人は1人を除いて全て私が選ばせてもらった。とんだ傲慢である。
内輪にしたくなくてお話ししたことない人にも飛び込みでDMさせてもらった。とんだスパムである。
なのに皆さん快諾してくださった。本当にビクビクしてたのでご承諾のお返事来るたびに泣いてた。誇張抜きです。感謝抜きには語れない。頭を何度下げても足りません。
4.『私とエビ中』にタイトルが決まる
書き手から、 我々は在校生ではなく父兄ではないか、同人を作る我々は合格者のような見本ではなく読む人と同じ立場でありたいというお話をいただき「確かに〜」となった結果、『私立恵比寿中学入学案内』がボツになり、ゆみず先生が『私とエビ中』とのタイトルを付け直してくれた。私生活とエビ中の話も、私から見たエビ中考もできるエッセイ集に相応しいタイトルだと思う。
5.企画用アカウントを作る
私が運営してるってので変なバイアスをかけたくなくて匿名アカウントを作ることにした。本人達へ届けたいものでもないから、余計公式画像を使うのに引け目があり、画像もちくちく作った。
かつ、公開された後に主催が無名すぎて興味をひくことができないというのも避けたかった。自身のnoteも開設して友人に話すノリで最近面白かったことを二つあげた。思ったよりも多くの人が話を聞いてくれて(?)嬉しかった。読んでくださった方、ありがとうございます!
6.#私とエビ中 のタグツイート企画を募集する
タイトルとリリース日、タグツイート募集企画を発表した。企画は、書き手も読み手も横一列で楽しめるものにしたいとのコーさんとゆみずさんの気持ちが元になってます(あと表紙イラストを描けないから、私個人としてはタグ広まることによって宣伝になればいいなとも)。
募集をあげた初日、怯えながら何度も更新をかけていたらポツポツと企画に乗ってくれた投稿が現れてポロポロ泣きました。そういえばそれをもとに動画も作ったな…。ちなナチさんも手が込んだ動画を自主的に作ってくれた。
そして忘れられないのがこのツイートを上げてから。
これを契機にラスト1時間で追いきれない量の#私とエビ中 が集まった。
本当にありがたかったです。3000字だろうと140字だろうと、みなさんが自分なりの「私立恵比寿中学とは」を導くために、時間をかけて真摯に向き合ってくれた。その結果、エビ中への好意でTLが埋め尽くされて、企画を知らなそうな方もそれに乗っかっていく。驕りでしょうが一瞬でしょうがこの流れに携われたことがとても幸福でした。ご協力いただいた方、本当にありがとうございました。
7.表紙と扉絵の撮影をする
当初勝手に設定していた目標の1.5倍の件数が集まり、嬉しい奇声をあげながら一つずつ投稿をエクセルに叩き込んで、いよいよ代筆と撮影の日。
ちなナチさん、ゆみずさんのご協力のもと、付箋と折り紙に一つずつ代筆をさせてもらった。書き手の方のタイトルはナチさんが記入してくれた。
黒板がある撮影場所が見つからなくて、なんとか抑えたのは我が地元の公民館。ちなさんが持参してくれた学生の持ち物っぽいメンカラ小物に付箋をつけてお二人が颯爽と撮影を進める中、私はのろのろ付箋を黒板に貼り付けた。
この日自体も撮った写真もなんだか文化祭みたいでとても気に入っている。
8.全ての原稿が揃う
7月2日。書き手の方の原稿の締切日。たぶんぽーちゃんの写真集のお渡し会の日だった。みなさんの完成データがどんどん集まる中、実をいうと私はまだ書き終わっていなくて。いや、言い訳させて欲しいんですけど、本企画で私が担当させてもらったのは、企画Twitterの運用、各種画像・動画作成、企画noteの作成・更新、書き手への連絡、原稿の電子書籍化、そして各々の完成した原稿に目を通すこと(これに加えてゆみずさんがやってくれたアイデア出しも撮影も1人でやる同人女さんほんとすごい)…他の方の完成原稿を熟読しているこれが全部悪い!みなさんの文があまりにも良くて、拙い文をあげるのが怖くてもう全く書きたくなかった。ヤケクソでギリギリに提出しました。ちなみに同じような状態になっていたのはあれ…みかんさん除く女性陣全員じゃない…?
この経験から物作りする方への畏敬の念がほんっとにほんとにほんとに増しました。他文化で同人活動されてる方やハイペースの(ハイペースでなくても)絵描きさんほんとすごい。エビ中スタッフやエビ中メンバーもものすごいペースでものを作っていて、企画を動かしてくれて…いつも本当にありがとうございます。
9.カウントダウンと電子書籍化をする
公開20日前からカウントダウンを始めた。メンカラと書き手の方の組み合わせはゆみずさんとちなさんが選んで写真を撮ってくれたので、あとはそれを加工して、そして!書き手のみなさん自身に選んでいただいたおきに入りのフレーズを入れてツイートした。
それと並行して進めていたのが、電子書籍化。書き手の皆さんの原稿は企画noteの下書きに放り込んでもらっていたので、それをwordに移して、縦書きに変更した後、誤字脱字チェックをすすめた。校閲マンよろしく逆さから読んでみたりしたけど正直素人が1人でやったところで何か見つかったかはとても怪しい…むしろ無駄に削っちゃった(なるせさん本当にごめんなさい)箇所があって申し訳ない…。時々英数字が横向きに転んじゃってるのは全角に直し損ねた私のせいです。その後、掲載順を決めた。ラストは絶対ken dogさん!と決めていたものの他の並びはなかなか決まらなくて…。似た内容が並ばないように、男女の順に極力なるように、かつ推し被りを避けて…をしてたんですけど、推し被りは無理でした。まる推しが多すぎる。
それが全て終わってからPDFとEPUB変換。PDFはまぁすんなりいきますよね。問題はEPUBでして、無料ツールをありがたく使わせてもらったわけですが、画像を入れると書式がズレるズレる。何日かけてやっても全然ダメで、やめようかとの話にもなったのですが、最初はkindleで0円リリースするつもりだったからかなんらかのこだわりがあり、強行の末、当日の未明に初めて成功。やっとできたファイルを添付して、公開用のnoteを書き終わったのは公表当日の朝でした。ギリギリほんと良くないですね。
11.『私とエビ中』を公表しお礼を述べる
そして、ツアーファイル、松野さんの誕生日の7月16日9:00。皆さんが貴重な時間を費やして懸命に作ってくれたものなので、滑らせるわけにいかない。めちゃめちゃ怯えながら投稿した。
結果は以下のとおりです。
書いてくれた方がいて、タグ企画で乗っかってくれた方がいて、温かい目で見守って下さった方がいて、読んでくれた方がいる。本当にありがたいことで感謝しきれません。
特出するのもどうかな〜と悩んだのですがやっぱり書いてくださった方には1人ずつ別のnoteでお礼を述べさせてください。
改めて、魔法みたいに数々のアイデアを生み出してくれた共同主催のゆみずさん、得体の知れないやつの訳のわからないDM依頼に応えてくださった心優しい書き手のみなさん、タグ企画に乗ってくださった熱意を持ったみなさん、手間と時間をかけて「私とエビ中」を読んでくださったみなさん、そして全ての元となった私立恵比寿中学のみなさんに改めてお礼を申し上げます。
ともに『私とエビ中』を作っていただき、本当にありがとうございました。
12.終わりの挨拶をする
手短に終わりの挨拶を…と思ってたら長くなっちゃいました。
2021年上旬。ど繁忙期でみんなピリピリしてる中、新採配属されてミスしまくって目も合わせてもらえずため息で返事される時、たまたま流れてきた人違があまりにも温かくて。チョケてる安本さんに笑わせてもらって、必死で自身の存在証明を、エビ中を誇示する安本さんを見て何度も踏ん張る力をもらって。会いに行ってみたらさらに勢いがついて。しばらくしたらその熱を共有できる人達と出会えて。身内にもその熱が伝播して。入社と加入の年が重なった柚乃さんのことを同期として捉えるようになって。そこからさらに。
そんなエビ中と、エビ中と出会ってからの日々が私の中できらきらして仕方ない。有象無象だとしたら、こんなエピソード掃いて捨てるほどあるのだとしたら、こんなにも嬉しいことはない。そんなエピソードを読ませて欲しい。
そこから始まった企画でした。
好きなものを語り合うとより好きが増す気がする。好きなものを好きと呟いたのが本人に届くこともある。全然関係のないジャンルでもオタクの熱に感化されて興味を惹かれることがある。オタクが語る好きに何かしらの力を感じています。勝手ながら。
だから、まだまだファミリーの皆さんの『私とエビ中』が見たいです。欲を言えば当初の沼にハマった経緯を読みたーい!当分の間は対オタクに熱を向けずファンレターづくりに邁進したいと思っておりますが、引き続きひっそりnoteを覗かせていただきます。
これからもよろしくおねがいします。