その島のひとたちは、ひとの話を聞かない
本の副題には”精神科医、「自殺希少地域」を行く”とありました。タイトル通り精神科医である著者が、出来るだけ単なる旅行者として訪れて地域の人々と交流した記録になります。
本屋さんで見た「その島のひとたちは、ひとの話を聞かない」というタイトルに惹かれました。副題との違和感から手に取ったのですが、いくつかの地域の話を読み進む中で納得しました。
自殺希少地域というのは、どういう特徴があるのでしょうか。訪れた地域が全部で6章あり、それぞれに異なった面がありました。地域の深い絆や役所の努力があるのですが、単純な話でも無さそうです。中にあるコラムには海外での話も紹介されています。
各小見出しの言葉をいくつか抜粋して書いてみます。
・困っているひとは今、即、助ける
・困っていることが解決するまでかかわる
・解決する事に慣れている
・あいさつ程度の付き合いが孤立感を癒す
・コミュニケーションは上手下手ではなく慣れるもの
・助け合いではなく「助けっぱなし、助けらっぱなし」
・なるようになる、なるようにしかならない
地域としてはやはり大都市ではなく、”村”などの世界になります。本に紹介された地域でも少子高齢化の波はあるので、この先もそれぞれの地域の特性を生かした繋がりを維持できるか、不安な部分はあります。
村ではありませんが、きっと下町にも似たような地域社会があるのかもしれないですね。地域の人と日々のあいさつ程度の緩い人間関係があった方が、精神的に健康かもしれません。もっとも、プライバシーの欠片もない噂話ばなりの濃すぎる人間関係は辛くなってしまいそうですが。
本に紹介されたような地域が、他にまだ数多くあればいいなと思います。私は正直なところ、『困っているひとは今、即、助ける』という境地に達してはいません。これはきっと”慣れ”なんだろうと思います。少しづつでも積み重ねること、続けることが必要なのでしょうね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。