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論文の読み方解説[コメディカル必見]

論文の読み方を理解することで、信頼できる論文か、そうでないものかを
見極めることができるようになります。

あはき師、柔道整復師こそ論文を読んだほうが良いと思います。
論文を読む意義が分からない方は、こちらをから読むことを勧めます。

1.研究論文の種類


研究論文には種類があり、研究の種類によって信頼度が変わります。
下図のピラミッドの上に行くにつれて信頼度が高くなります。
この信頼度の高さをエビデンスレベルといいます。
つまり、論文を読むにあたって、研究の種類とその研究のエビデンスレベルを把握しておく必要があります。

図 エビデンスレベル

・メタアナリシス、システマティックレビュー:二次研究論文と呼ばれ、
報告されている複数の論文を一定の基準で集めて、比較したものです。
最新情報を得るための情報源としての役割もあります。

・ランダム化比較試験(RCT):群を無作為に分けて、客観的に治療の効果を評価する研究です。バイアス、つまり先入観や偏見をできる限り除外して行われます。

・非ランダム化試験:無作為ではないが群を分けて行った研究です。
RCTや非ランダム化試験などは研究にあたって、対象者に介入する為
介入研究とよばれます。

・コホート研究:ある集団の将来生じる現象を一定期間観察する研究。
前向き研究と呼ばれる。

・ケースコントロール研究:疾患群(Case)と対照群(Control)を過去に遡って比較し、二つの群の異なる点を探し、原因を究明する研究。
後ろ向き研究と呼ばれる。

・症例報告:珍しい症例に対する治療法、経過観察などの報告書。
更なる研究を行う動機づけになる場合がある。

・専門家の意見:経験則による専門家の発言。
ここでいう専門家の定義がはっきりしませんが、自分で研究して発表する方々のことを指していると思われ、それ以外の臨床家やセミナー講師などは違うと思います。

・動物実験、試験管内研究:動物を使った実験や試験管や培養器などの
中で行う実験などの、対象をヒト以外で行う研究です。

以上が研究の種類です。

2.論文の読み方

論文は

・要約、要旨(Abstract):論文の要約
・序論(Introduction):研究の動機、意義
・方法(Method):研究の方法
・結果(Result):研究の結果
・考察、議論(Discussion):なぜ、この結果になったか
・結論(Conclusion):まとめ
・参考文献(Reference) :研究をする際に、参考にした文献

 
の順番で構成されています。
しかし、この構成通りの順番に読んでしまうと、読むのに時間がかかるのと、論文の全容を把握し辛い場合があります。
ですので、読む順番は下記の様にしてしまいましょう。

・要約、要旨(Abstract)
・結論(Conclusion)
・結果(Result)
・序論(Introduction)
・方法(Method)
・考察、議論(Discussion)
・参考文献(Reference)
 

初めに要約を読み、自分の目的のものか判断します。
その後、要約→結論→結果まで読んでみて、論文の全容を把握します。
そして、時間をかけて読み込みたい場合は序論→方法…と読み進めていきましょう。

さらに、以下を念頭に置いて読むと読みやすくなります。

・分からない言葉はすぐに調べ、噛み砕いてでもよいので意味を理解する。
・記載してあることを鵜呑みにせず、明確な根拠があるか、
 矛盾がないか確認しながら読む。
・最初は網羅的に読み、自分の目的にあった論文かチェックする。


とりあえず、ここまで把握したら、早速読んでみて良いと思います。

各項目にどのような事が記載されているか下記に詳細を書いておきます。
もし、時間があれば読んでみてください。

3.論文の記載事項

要約、要旨(Abstract)
論文の内容を簡潔にまとめた項目で、ここを読めば、論文に何が書いてあるか分かるようになっています。
論文を検索サイトで調べてみると、タイトルと要約が検索結果に表示されている事も多いです。

結論(Conclusion)
得られた結果(Result)から 考察(Discussion)を行い、それを踏まえてまとめた内容、要するに研究結果で何が分かったかを簡潔に書かれている項目です。
 
結果(Result)
方法(Method)に記された実験を行い、得られた結果をありのまま述べられている項目です。
筆者の考えはここでは述べられていません。
 
序論(Introduction)
研究を行う意義、きっかけ、明らかにしたい事、研究に至るまでの背景が述べられています。
 
方法(Method)
研究の方法が述べられています。
具体的に書くと、研究デザインは何か、研究の対象者はどうやって選んだか、評価項目は何か、統計方法は何か、などが述べられています。
 
考察、議論(Discussion)
下記の事が述べられており、論文の味噌となっている項目です。

・序論(Introduction)で述べた目的に対して結果はどうだったか
・この結果になった理由と、その根拠
・この研究から得られた結果は、どのような意義があり、
 どのように応用できるか
・他の論文と同じ点、違う点
・研究の問題点は何か、解決策はどのようなものがあるか
 
・参考文献(Reference) 
文字通り、論文を書く際に参考にした文献が提示されています。
研究を行うきっかけになった文献、研究デザインを設定する際に参考にした文献、考察、議論(Discussion)で提示された根拠になっている文献などが
提示されています。
私は、関連した文献を読みたいときや、考察、議論(Discussion)で述べられた根拠が懐疑的に思った際は参考文献を読むようにしています。

以上です。
参考になれば幸いです。

また、おすすめの論文検索サイトを紹介しているので続けてご覧ください。
 

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