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eatreat.のパンチャカルマ体験記①汚れた布を真っ白に洗い直す治療体験

「小林さん、私たちはみんなね、汚れた布なんですよ。パンチャカルマはその布をあらかじめきちんと選択して、それからもう一度良い色に染めなおすための治療です」と及川先生が言った。

パンチャカルマはドーシャが増えすぎ、バランスを崩して病気の素を作り始めている(もしくはもう病気ができている)のを鎮静するために、憎悪したドーシャを集めてえいっとデトックスする治療法。

いつかやりたいなと思いつつも、最も重要なコストである「時間」を割けなくて40歳手前になってしまった。様々な節目を迎えるこのタイミングで、私もついに、未来の健康のために投資しようとハタイクリニックの門を叩き、汚れた布を一度洗い直すことにした。

これはそんなeatreat.のパンチャカルマ体験記です。

パンチャカルマは増えすぎたドーシャを集めて排出するデトックス治療

大好きひとみさんの絵 ※本文と無関係

及川先生は「パンチャカルマについての問い合わせが増えてるんですよ」ともおっしゃっていた。

及川先生がおられるハタイクリニックは祐天寺にある。
ハタイクリニックのパンチャカルマはこちら
コロナ禍でインド・スリランカに滞在治療できないのもあるし、都内でこれだけ本格的な治療が受けられるところは他にないので、アーユルヴェーダへの関心と正しい知識の浸透で、パンチャカルマってなに?と問い合わせる人が増えているんだと推測する。

でも、これを読んでる人はちんぷんかんぷんだと思うので、パンチャカルマを正しく知るために大切な前提をいくつかお伝えする。
※全部書くと一冊の本になるので、これでもだいぶ省略したことを念頭に置いてほしい

1、ドーシャの乱れが病気の原因
ドーシャは人の身体の生理機能です。
雑誌やインターネットでアーユルヴェーダを調べると「体質診断」というのが出てきて、「血液型診断なのかな?」と思われがちですが、ドーシャは人の身体を動かす機能であり、身体をおびやかす病気の素でもある。

▽ドーシャについて詳しくはこちら

ドーシャは全部で5つあって、vata(風)pitta(火)kapha(水)の3つの他に、心のドーシャであるラジャス(激性)タマス(停滞性)がある。
母親のお腹の中で受精した瞬間に人のドーシャバランスは決まり、軸があるのだけど、風に吹かれたら揺れるやじろべえのように、ドーシャは環境・食べ物・年齢さまざまなものに影響されてバランスを崩す。

バランスを崩すと病気が生まれ、蓄積・憎悪・拡散・定着・発病・分化の6段階を進みながら病気が悪化していく。

ドーシャーズ

だから自分の中のドーシャの軸がどこにあって、どんなバランスで生きてて、ちゃんとみんなニコニコ手を繋いでくれてるかいつもご機嫌を伺うのはとっても大事。

2、ドーシャがバランスを崩すと、見えない宇宙のチリみたいな汚れが体内にたまって、本当にいいことなくなる

ドーシャはさまざまな仕事をしている超大切な存在なので、私には元気玉みたいに愛おしい彼らなんだけど、普通はその存在を想像したり感謝しながら生きるのって難しい。

アーユルヴェーダが好きになってくると、生理が順調だったら「アパーナヴァータありがとう」とか、食後4時間くらいで気持ちよくお腹が空いたら「アグニさま、感謝です」とか心の中でつぶやくようになる(?たぶん)

そんな風にドーシャーズを労ってあげられたら最高ですが、そこまで行かずとも調子がいいかどうか考えることはできる。
それが毎日のお通じ。

毎日の消化活動も3ドーシャの協力の賜物。
食べ物が降りるとき降ろすのを手伝うvata、消化して変換するpitta、定着させるkapha(そんなに簡単じゃないけど、イメージとして)。
人間は基本的に飲食物を食べたり飲んだりして、動き、寝て、消化して、代謝して、細胞が生まれ変わって…の繰り返しなので、この消化活動が一番大切。

もし、vata/pitta/kaphaをおびやかすような真似をして、バランスを崩したら…消化活動もうまく行かなくなり、結果として消化しきれないもの(未消化物=アーマ)が生まれる。

これは見えない宇宙のチリのようなもので、年齢を重ねてきたらどんな人にもある程度はあるもの。

身体の中に一本の消化のための通り道があるとして(例えば食道や胃腸、小腸大腸なんかも一本の線で繋がってますね)ここにアーマがちょこちょこ溜まったとしよう。

詰まってるというのはまず、重い。それで倦怠感や鈍重感が生まれる。消化がうまくいってないので、栄養が行き届かず、疲れやすくなる。あらゆる細胞の再生が遅くなり、エイジングが進み、詰まってることによって頭痛や冷えなどの不定愁訴が現れる。

本当にいいことない。

一方で、もしドーシャがある程度バランスされていて、アーマで詰まっていなければ、まずは毎日スッキリとしたお通じが出る。身体は軽快で、睡眠は良質、栄養が行き届いていていつも元気。
年齢相応の若さを手に入れ、痛みや冷えなどの不安もない。

本当にいいことばっかり!

かなりざっくり進めてきたけれど、そういうわけで、増えすぎたドーシャを定期的に真剣に追い出して、一度リセットしましょうというのがパンチャカルマ治療です。

どんなに良い薬も、身体が汚れていては浸透しない

eatreat.では、料理と対話をコンセプトにしていて、料理をする傍ら個人の話に傾聴する時間を大切にしている。

もう4年も続けているのと、その間に料理教室やワークショップもやってきたので、アーユルヴェーダの知識がある程度ついている方とのセッションも増えてきた。

そんな中でも結構な頻度で「絶対治る魔法のようなハーブ」を教えてもらえると思って目をキラキラさせて待ってる人がいる。
正直可愛いし、すごいわかる。

アーユルヴェーダにはたくさんのメディカルハーブがあって、そのどれもが「良い方向に押し上げる」というよりは「バランスさせる」優しさがあってどれも好きだ。とても興味深い世界。

食材についても人を滋養させるもの、安心させるもの、たくさんあって、特に細胞を若返らせ人を生き生きとさせるハーブや食材を「ラサーヤナ」と呼ぶ。みんなが聞いたことあるシャタワリやアーマラキーもラサーヤナ。骨つきの鶏肉もギーもラサーヤナです。ラサーヤナを用いることで身体組織や臓器や経路を若返らせることができ、それによって病気の再発を予防する。

でも、大切なことはラサーヤナの作用が適切にされるためにも、治療の前に身体が適切に浄化されていること。

チャラカは布を染めるという古典的な例をあげて説明している。「もし布があらかじめきちんと選択されてしみが除かれていれば、新しい色はきれいに染まる。」と彼は言う。

『浄化療法とアーユルヴェーダマッサージ』
アヴィナーシュ・レーレ/スバーシュ・ラーナデ/アッバース・クターブ共著
幡井勉 監訳 / 牧野博子 訳 

もともと、ドーシャは身体の外に出ようとする生来の傾向を持っているもの。身体の中に入ってくるあらゆる種類の毒素に対して、ドーシャは初めは身体を守ろうとする方向に働き、病気の原因となる要素が存在する領域に大量に増え、尿や大便、汗などの様々な老廃物とともに外に出ようとする。

しかしながら、ドーシャは組織の奥深くに入り込み、潜在的に潜り込んだままでいようとすることがある。これが厄介。
パンチャカルマはこのドーシャを身体のあらゆるところからかき集めて吐き出そうとする、大変奥深い治療です。

パンチャカルマを受けるために必要なこと

パンチャカルマに限らず、アーユルヴェーダの話をするとき私は「受ける側の積極的な姿勢や体力も必要」という話をしている。
アーユルヴェーダには、治療を成功させるのに必要な4本の柱というのがある。
医者
・薬物
・付添人
・患者

医者から付添人にかけての条件は省くとして、患者は治療を受けるのに十分な体力・気力・理解力・財力・時間などを用意する必要がある。
30年後の健康を見越していま、結構大変な治療を受けるのだ。
身体の中のドーシャをかき集めて外に出すという一大工事をする。

エステを受けるときは、クタクタになってもうだめだー!という状態で行き、ぐーぐー寝ながらマッサージを受けて「何も覚えてない笑」とか言いがちですね。同じ様子ではアーユルヴェーダでは何も得ることができない。

私は上にあげた5つの中では一番、時間という財産を差し出すことができなかった。いつもいつも忙しくて「いつかいつか」と先延ばしにしてしまう。だけど、eatreat.をやっていてこの健やかな仕事をいつまでもできるようにと心から願うようになったし、より深く自分のいのちに触れたくなった。

何年もかけてアーユルヴェーダを学んで、ドーシャへの理解が深くなり、元気玉のように大切に思うようになり、もっと"ほんとうのこと"を知りたくなったのだ。あと、ちょっとしたことで倒れなくなったし、自分のドーシャバランスが見えるようになってきて、体力を保つ方法を知ったのでやってもいいかなと思ったというところ。

そのため、これを読んで、わーパンチャカルマ受けたい!受けよう!(てなるか?)となったとしても、必ずしもドクターが「ではやりましょう」となるとは限らない。
もしそういう気持ちになったなら、まずはハタイに2−3度通ってセラピストとの信頼関係を築き、ドクターとのセッションを重ね、お互いの気持ちが重なり合ったところで行うことをおすすめします。

IT IS HEALTH THAT IS REAL WEALTH AND NOT PIECES OF GOLD AND SILVER.                                                     Mohandas Gandhi

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