昭和14年の果物類のお料理”バナナのカツレツ”
◆婦人倶楽部八月號附録 夏のお惣菜向一品西洋料理 昭和14年(1939)
和装の女性に日本国旗と健康報國という文字がなんだか戦争の気配がするなと思うんですが、この本は西洋料理のレシピ本です。
中をめくっていくとけっこうモダンで美味しそうな料理が並びます。太平洋戦争前の食文化が見えて面白いですね。
ちなみに料理にマヨネーズソースやトマトケチャップが度々でてくるのですが、巻末にレシピがのっています。手作りなんですね。ケチャップは煮詰めて裏ごしたトマトソースにリンゴのおろし汁、酢などを入れた簡易な物ですが美味しそうです。
中の料理も、コンビネーションサラダとか野菜ランチ。イワシですがローストということで西洋料理によせてあります。
左ページのポテトフラワーもなかなか、肉まんみたいに見えますが花を見立てたジャガイモですが中身はなんと佃煮です。西洋料理なのか、、、という感じですが面白い。
レシピによると佃煮はなんでもいいそうです。おおらか!
その下にあるポテト・スモールボールもなかなかです。
田螺(たにし)をつかった小さいコロッケで、田園向きの栄養に富んだお手軽料理です。
田園向きですね!ゆがき田螺を二掴み使います。田螺の代用にしじみ貝でもいいそうです。
◆バナナのカツレツ
バナナにパン粉をつけて揚げ、肉のそぼろ餡をかけた美味しいカツレツです。
材料(5人前)バナナ一五本位、挽肉三十匁(一一二瓦)、玉葱中一個。
拵へ方⑴バナナを横半分、縦半分、つまり一本で四つになるように切ります。そして、これに玉子をつけてパン粉をまぶして揚げます。
⑵それをお皿か小丼に盛り上げ、次の肉そぼろをかけます。
⑶肉そぼろ作り方は、玉葱のみぢんにしたものを煮出汁かスープ、又は水一合(0.18立)位加へ、醤油大匙一杯、砂糖大匙半分を入れ、味はつて見て、尚鹽とか胡椒とかで適當に味つけして火にかけ葱が煮えたら、挽肉を入れて煮て、更にメリケン粉大匙一杯を少量の水で溶いて加へ、どろりとさせます。
なかなかパンチのあるレシピです!まず5人前で15本!1人3本!それにパン粉をつけてフライにしたところに、醤油味の肉そぼろ餡がけです。うーん作ってみたい。。お皿か小丼に盛り上げるほどのボリューム感。
あとこのページ右には、無花果のサンミテというおしゃれなサンドイッチがのっています。イチジクは切って砂糖とワインを振りかけておいておく。トーストにはさんだサンドイッチです。美味しそう!サンミテってなんだろう。こういうサンドイッチの名称があるのかな。。シベリアみたいな感じでしょうか。
◆国産紅茶
最後に後ろにのっていた広告です。
日東紅茶の広告がのっていますが、純国産なんですね。日本の茶葉で紅茶作ってたんだ。
調べてみると1971年に紅茶の輸入自由化が始まるそうです。日東紅茶はそれまで高価だった輸入の紅茶に対抗すべく、国産紅茶を作っていてイギリスでも高評価を得たりしていたのですが、この年から国産紅茶の生産をやめてすべて輸入に切り替えたそうです。
最近ではまた国産紅茶の生産をしているようですが、そんな経緯があったんですね。この時代の国産紅茶飲んでみたいです。
あと下の広告は洗剤ですが、ス・フ・人絹(じんけん)とあります。初めて聞きましたこんな言葉。。。なんのことだろうと調べてみたらレーヨンのことだそうです。ステープル・ファイバーというものらしく略してス・フ。
人絹は人工絹ということですって。
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