春について、改めて
春の苦手なところは明暗のはっきりしないあの光だ。
世の中に暗い映画や音楽が存在するのは、それが人々に求められているからだと思う。暗い気分のときにハッピーなものやクラブミュージックなんてとてもじゃないけど取り入れる気にならない。それらはただただこちらを置き去りにするだけだ。しかし暗いものは置き去りにすることなく、しっかりこちらに寄り添ってくれる。
春はそれができない。どんなにハッピーな人もどんなに暗い気分の人も等しくあの明暗のはっきりしない光で照らしてくる。白い光は一見とても優しいもののようだが、あの優しさは表向きだけなのだ。もっと考えろ、下手くそなのか、空気読めないか、生命線と感情線絶対離れてるだろ、まったく春ってやつはと思う。
しかし時には空気を読まないことも大切だ。暗い気分のときに間違えて選んでしまった音楽がめちゃくそに明るいものだったときに気分とのギャップに笑ってしまって案外楽しくなり、小躍りしながら帰るときもあるし、くだらないコメディ映画を観て悩んでたことなんてどうでもいいわと思うこともある。
春は一切空気を読むことなく、どんな人にもどんな時にも等しい光で照らしてくる。案外それが心地よかったりするのかもしれない。