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コックピット・クロックへの羨望と、そのナゾを少し探検。

ワタクシ、時計の中でもとりわけ、機械式(電池を使わず、バネや歯車だけで動く)のクロノグラフ(ストップウォッチ付き)が好き。

そのひとつの究極のカタチが、戦闘機の操縦席に装備されている、いわゆるコックピット・クロック。

戦闘機のコックピットってのは言わずもがな、大きなGがかかるとか、キツい太陽光線に晒されるとか、気温の変化が激しいといった特殊な環境。
そこに装備される機器には様々な要素が要求されます。

例えば、視認性の良さや、特殊な環境に長時間耐えうる耐久性とか。

そういう要件(ミルスペックという規定で定められてます)を満たした時計が、コックピット・クロック。
自ずと、プロの道具としての風格が漂ってる。
コックピット内に計器は数あれど、外しても単品で機能するのはクロックぐらいのもの。

所さんの世田谷ベースにもいくつか置いてありますね。

ということで、本日はそのコックピットクロック、2つほどご紹介をば。

まずは、

米ウォルサム社製のA-13A。

さっすが、視認性の良さにこだわってます。
左下のノブを回すとゼンマイが巻けます。
右上のボタンで、クロノグラフ(ストップウォッチ)のスタート・ストップ・リセット。

これは元々航空自衛隊のF-15イーグルに付いていたもの。↓

↑F-15Jのコックピット。

他にも、1960年代以降のアナログな米国製戦闘機には大体、コレが装備されています。
例えば、コチラ。↓

↑F-4EファントムⅡのコックピット。

こちらも。↓

↑F-104Jスターファイターのコックピット。

時計の裏もまた、楽し。↓

↑ミルスペックや製造番号、ウォルサムの社名の他、赤いステッカーは、立川の大田計器製作所さんで平成?6年7月にオーバーホールされたって事を示します。

歴史の重みを感じるなあ。
それが今も快調に(2,3日で数分遅れますがご愛嬌)動いているのだから、すごい耐久性だ。

ちなみに、コイツそのものではないですが、中身のムーブメントはこんな感じ。↓

機械式時計が好きな方にはわかるのですが、コラムホイール式っていいまして、贅沢な仕組みを持つ機械なんです!

そして2つ目にご紹介するのはコチラ。

仏ドダネ社のTYPE11。

こちらはちょっと繊細な顔つき。
時計合わせは右下の小さなレバーを引き下げた状態で行います。↓

レバーを引くと赤いインジケーターが出てきます。こういう、分かりやすさを追求した工夫も、軍用って感じがしてイカす。

仏ドダネ社製だけあって、同じ仏ダッソーのミラージュ戦闘機に装備されていました。

↑ミラージュF.1戦闘機。

↑無尾翼デルタのミラージュ2000戦闘機。

コックピットはこちら。↓

で、タイトルにナゾと入れましたのは、この文字盤にあるTYPE 11の後の"A"の文字。
手描きなんですよね。
ネットで探すと、ここが"P"のモデルも。
そして中身の機械も…

↑ワタシのはこの、昔のギャレットなどに搭載されていた、エクセルシオ・パーク製の機械のようですが、

一方で、このように、↓

バルジュー551って機械を積んでいるものもあるようで。
あるいはまた、同じTYPE11でも、メーカーが名門ブレゲって場合もあるのです。こちらはグッと相場が上がる。

件の“A“とか“P“の手描き文字が、中身の機械の違いを示すのか、何なのか、この辺がナゾなんですね。
でも、そういうナゾもまた、楽し。

ご紹介したA13AもTYPE11も、今でもまだまだ、ebayで狙えます。

それでは、またー。


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