授業改善につながる授業研究会の在り方➁
授業改善につながる授業研究会の在り方①で述べたように、研究授業の実施、参観をする前には、「研究テーマの確認・イメージ化」「子どもたちの課題・解決のための手立て」「子どもの事実をもとに参観する」ことをみんなで共有し、前提をそろえることが大切である。
そして、いよいよ研究授業である。
研究授業では、授業者の教授行為に着目するのではなく「子どもの事実」を参観することにする。「子どもの事実」から研究テーマとの関連を考えるためである。「子どもの事実」を把握するためには、子どもたちの表情やノートに書かれた内容、話合いの様子等をみる必要がある。自ずと参観者の立ち位置も時間によって変わってくるだろう。
事後研究会では、子どもの事実をもとに「よかった点」「課題」を出し合い、「改善点」を考える。「改善点」では、自分の理想を押し付けるではなく「この学級の子どもたちであれば、〇〇という手立てが有効である。」というように、子どもの実態を踏まえたものがよいだろう。
多くの授業研究会では、ここで終わってしまう。
しかし、それでは、その授業のみの協議になってしまい、参観者の「明日からの授業改善」はあまり期待できない。
ここからが本番である。
研究授業の具体的な「課題」「改善策」を話し合った後は、参観者自身が研究授業を通して「何を学んだか」を振り返る必要がある。例えば「話合い活動の前には、そのねらいと話し合う内容を焦点化すること」などの少し抽象度の高いものを学びとしてあげもらう。
一人一人に聞いていき、ホワイトボードに書いて視覚化していくのがよい。ここで出された内容は、抽象的であるものの、明日からの授業に活用できる汎用的な考え方や技術である。
「明日の図工でも使えないだろうか?」と考え、実際に試してみることで少しずつ授業改善が図られていくだろう。
時間が許せば、「学び方」も振り返りたい。
授業研究会を通して、自分自身はどのような「学び方」をしたのかを考えるということである。例えば「私は、学習意欲を高める課題提示を考えるとき、教育技術をどのように使うかに目が向きがちだったが、課題自体が重要であることに気が付いた。」など、事後研を通して学び方を振り返るのである。
このような授業研究会を行うことによって、参観者全員の授業改善につなげるようにしたいと考える。ICT等をうまく活用しながら、60分で完結できる授業研究会のパッケージを考案中である。