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よりよい人間関係を過度に強調する弊害

内閣府の調査によると、日本の子どもたちは、学校に通う意義として「友達と友情を育むため」「自由な時間を楽しむため」と考えている割合が、韓国、アメリカ、イギリス、フランスと比較して高い。                 

学校は「よりよい人間関係」を育成していく場である。                   このことについては、ほとんど異論はない。

しかし、教育の場で、人間関係形成が「よいこと」であることを過度に強調しすぎると、「自分の努力が足りないために、集団に適応できない」と考える子どもが出てくる可能性があることを忘れてはならない。
                                          白松賢氏は、著書「学級経営の教科書」の中で以下のように述べている。

不安と危険に満ち満ちた格闘場(アリーナ)である学級を、教師にも子どもにとっても、「相互尊重と創造性に満ち満ちた場所」に変えていくための21世紀型モデルの学級経営の転換を図るものです。
                                            「連帯感」「所属感」を強制する(結果的に強制になっている)集団への同調圧力で学級の人間関係が成立しているのだとしたら、また、白松氏が言われるように「不安と危険に満ち満ちた格闘場(アリーナ)である学級」であれば、よりよい人間関係を築こうにも難しいのである。    

 子どもたちは、自分を守るための人間関係を築かざる得ないことなる。支持的風土ではなく、防衛的な風土が学級につくらることになる。
                                            子どもたちの人間関係は、集団の雰囲気やメンバー、あるいは地域、家庭の状況などによって、各自の適応感は異なるものであり、子どもの能力や努力だけ責任を帰属させることはできないのである。

このことを意識せずにいると、多くの子どもたちを苦しめることになると考える。特に管理型の学級経営をしてしまう傾向がある人は要注意である。



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