学校組織マネジメントを考える①
「学校組織マネジメント」について考えてみたい。
学校組織マネジメントという言葉は、学校現場でも広く浸透してきた。
しかし、学校組織マネジメントの考え方、学校組織マネジメントを生かした実践など、学校現場において、思った以上に浸透していないのが現状であろう。 学校組織マネジメントが有効に生かされていないために、個人の力では解決困難な課題もたくさん出てきている。
学校組織マネジメントを理解し、その発想を取り入れ、実践していくことは、今後ますます重要視、いや必須にななってくる。 学校の人的・物的資源を有効に持続的に活用する上でもカギとなる。
1 「組織マネジメント」という発想はどこから?
そもそも組織マネジメントという言葉は、どこから教育現場に導入され てきたのだろうか。調べていくと、2000年の12月にさかのぼる。
当時の森首相の私的諮問機関であった「教育改革国民会議」から出された「教育を変える17の提案」に組織マネジメントという言葉が出てくる。
この提案の1つに、「学校や教育委員会に組織マネジメントの発想を取り入れる」ことが盛り込まれたのである。そこでは、以下のことが指摘された。
学校運営を改善するためには、現行体制のまま校長の権限を強くしても大きな効果は期待できない。学校組織マネジメントの発想を導入し、校長が独自性とリーダーシップを発揮できるようにする。
校長の独自性とリーダーシップを発揮させるために、「組織マネジメント」の考え方を導入したことが分かる。
2 学校組織マネジメントとは何なのか?
この「教育を変える17の提案」の後、文部科学省も「マネジメント研修開発会議」を設置し、「学校組織マネジメント研修―これからの校長・教頭等のために」を発表することになる。
その中で、学校組織マネジメントを次のように定義している。
学校内外の能力・資源を開発・活用し、学校に関与する人たちのニーズに適応させながら、学校目標を達成していく過程(活動)
このような学校組織マネジメントは、そのように呼称していなかっただけで、学校においては従前より行われてきた営みである。
しかし、浜田博文氏の言われるように、社会が複雑・混迷化し、子どもたちを取り巻く環境も激しい変化の中、学校が責任をもって教育を行っていくためには、「組織マネジメント」をより意識して教育活動を展開し、充実させていかなければならないととらえることが妥当であろう。
もちろん、学校組織マネジメントは、よく言われるように校長や教頭等に必要なものだけではない。
学校現場には、学年主任、生徒指導主事、保健主事、安全主任、国語主任など様々な主任級の役職がある。このような主任級の役職にも、学校組織マネジメントは必要なのである。いや、学級担任も然りである。このように考えると、教職員全員が身に付けるべきものである。
3 学校組織マネジメントが発揮されている学校の姿とは?
それでは、「学校組織マネジメント」を発揮するためにはどうしたらいいのだろうか。何からどのように取り組んだらいいのだろうか。
この答えを探るために、まず、自分の考える学校組織マネジメントが発揮されている学校の職員の姿を経験測をもとに考えてみる。 何かヒントがあるかもしれない。
○ 校長先生の学校経営ビジョンがシンプルで明確である。
○ 校長先生が学校経営ビジョンを職員に浸透させようと努力している。
○ 学校目標を達成しようとする意識が高い職員が多い。
○ 職員が共通した明確な目標を持っている。
○ 力のある教師が転勤しても、学校が荒れることはない。
○ 指導の結果を具体的に振り返るシステムができている。
○ 職員間のコミュニケーションが活発であり、学び合う雰囲気がある。
○ 中堅の職員が学校全体のことを俯瞰してみる目を持っている。
○ 教師がやりがいを持って仕事をしている。
○ 校長先生が日常的に適切なフィードバックを職員に行っている。
思いつくまま、羅列しただけであるので、重なりや落ちがあるだろう。
ただ、ここから見えてくる学校組織マネジメントのキーワードがあるのではないか。
次回はそのキーワードについて考えてみたい。