題名から内容を「想像」する
単元の導入で、本の題名から内容を「想像」する学習活動がある。
小学校の国語教科書でよく取り扱われている「一つの花」を例に挙げる。 「一つの花」は今西祐行氏による文学作品である。
「一つの花」は戦時中の貧しい時代が舞台である。「一つだけちょうだい。」が口ぐせのゆみ子。出兵する父親が最後のお別れの時、幼い娘のゆみ子に、プラットフォームのはじっこに咲いていた一輪のコスモスを手渡す。そのコスモスには、父親の娘に対する様々な思いが込められていた。戦争が終わり、時が経つ。父親は返ってこなかったが、いっぱいのコスモスの中でゆみ子は母親と幸せに暮らしている姿が描かれている物語である。
「一つの花」という題名から内容を想像する。
単元の導入なので、題名を想像させることによって、物語への関心を高めることがねらいとなることが多い。
この「想像させる」という学習活動の質を高めたい。
例えば、まず、物語本の貸し出し上位ランキングの題名を提示し、どのような物語が想像させる。子どもたちは、自由に想像するだろう。ここでは、題名には、作者の思いが込められているということを理解させる程度でよい。
次に、これまで学習した物語文の題名を提示し、どのような物語だったかを確認する。例えば、「ニャーゴ」「走れ」「名前をみてちょうだい」は題名がセリフ、「スイミー」「サーカスのライオン」は中心人物、「大きなかぶ」「千のこわれた楽器」は物語のキーワードが題名になっているということを確認する。「題名読みの視点」を与えるのである。
そして、「一つの花」の内容を想像させる。 時代背景、コスモスを父親がゆみ子に渡している場面絵などを示し、その題名から内容を想像させるのである。子どもたちは、「題名読みの視点」と挿絵などの情報を踏まえて、「一つの花」の内容を想像することになる。
上記は一例であるが、「想像する」という学習活動においても、ねらいを踏まえながら、質のを高めていくことが大切である。