与えることと受け取ること
あるところに男性の魂がいた
男性の魂は人の本質をすぐに見抜いた
だからたくさんの人に求められた
そしてそのすべてに応えたいと思った
けれど身体はひとつなので
たくさんのひとにあげたいのに
ひとつしかあげられないなんて
とひどく残念に思っていた
男性の魂が天命を終えたあと、
今度は女性の魂に生まれてみたいと思った
ただ在るだけで愛される
受け取るだけで相手を幸せにできる
なんて豊かで素晴らしいんだろう
自分も経験してみたい
と
ところが
女性の魂で生まれてはみたものの
なかなかうまく受け取ることができない
自分には受け取る資格がない
自分に自信が持てない
と、思ってしまう
また、
受け取ってもすぐに奪い返されるのでは?
そんな不安が拭いきれず
いつものくせで
人に与えようとしてばかりいた
その魂にとっては
与えるほうがラクだった
相手の喜びをゴールにしたほうが
わかりやすかったから
受け取るほうは疲れる
もらってもどうしていいのか分からない
あなたには受け取る価値しかないのよと
バカにされているような気もしていた
もらうことって良くない気がする
弱くなる
依存的になる
見下される
もらうことで
自分からパワーがなくなる気がする
でもやっぱりなんだか窮屈だ
求められたい
ただ在るだけで賞賛されたい
そこで、ふと気がつく
今まで与える対象を下に見ていたことに
与えることは素晴らしいことだけれど
ときに独りよがりになる
相手から自由と責任を奪うこともある
与えられることが癒しになるときもあれば
その相手の心を弱くするときもある
そしてまたその魂は気づいた
男性の魂のときにすでに
受け取っていたことに
自分が与えたことが
相手の癒しになることで
愛を受け取っていたこと
そして、その幸せを
軽く見ていたことに
気づいた
男性だったころは
それがうまく循環できなかった
女性に生まれた醍醐味は
その幸せを上手く循環していくこと
ただ在ることで愛されると知ること
相手の愛を受け取ることが
相手の癒しになると知ること
男性の魂に必要だったのは
ただ受け取ることで
相手を幸せにできると知ること
見返りを求められない愛が存在すると
知ることだった