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第2章/第11話 島耕作のようにはいかない!白熊誠のサラリーマン人生 -派閥抗争-

誠の店舗で派閥抗争があった。

誠は派閥には属さず、島耕作のように派閥の中に入らずとも今までうまくやってきた。これからも一匹狼で生きていくはずだったのだ。

大きな店舗であったが、二大派閥に分かれていた。1つにまとまっていないせいで、店舗の雰囲気もすこぶる悪く、常にギスギスしていた。
その二代派閥を率いていたのは、村上班長率いる古参派閥と柏木班長率いる若者派閥だ。

村上班は、古参のベテラン陣で身を固めており、一癖も二癖もある野郎どもが牛耳っている。リーダーの村上班長は、50代とは思えないほど勢いがあった。声にも元気があり、頑固親父のイメージそのままの人であった。

柏木班は、途中入社してきた比較的若い衆の野郎どもの集まりである。リーダーの柏木班長、30代後半で、優しく頼りになる存在であったため、若い衆の中では信頼も厚く人気者だった。

柏木班は、理不尽に吹っかけてきたり、職場のルールを逸脱して、自分ルールを貫こうとする村上班の所業にうんざりしていた。

休憩所や喫煙所は村上班が牛耳っていた。村上班の野郎どもはいつも奥を陣取って威張り散らしている。
私は一匹狼だったので、傍観していることが多かったが、柏木班と一緒で肩身は狭かった。

ある日のこと。
私は、いつものように店舗の駐車場に車を停めようとバックしている最中だった。
村上班の古参の寺橋が急に運転席まで歩いてきたのだ。

寺橋「おい、テメェどこに停めてんだよコラ?ここは俺らの停めるところだろうが」
誠「はい?そんな決まりは聞いたことないですが」
寺橋「はい?だと。舐めてんのか。口の利き方には気をつけろよ。テメェこら」
誠「寺橋さん、私はいつもここに停めていますよ?どうしたんですか?」
普段は温厚な誠も村上班の口の悪さには怒りが沸いてきた。

すると、騒ぎを聞きつけた村上班の野郎どもが、なんだなんだとやってきた。
柏木一派も異変を感じ取りやってきた。
村上班「おいおい、なんだ?揉め事か?ここは俺たちの駐車場だぞ、どうしてくれんだ!あぁっ!」
柏木班「誰がどこ使うとか決まってねーんだよ!ほっとけよ!」

それからしばらくの間怒号が飛び交った。
私はなんと、派閥抗争の火種となったのだ。一匹狼であったが、火種になることもあると、冷静ながらも驚いた。そしてなんとも申し訳ない気持ちになった。

すると派閥同士の小競り合いになっている事に気づいた村上班長がやってきた。
村上「おいおいオメェら落ち着けよ。とりあえず聞けや。ここは俺らの定位置だ。どこにも書いてはいねーが、昔から決まってた。わかったら、今すぐあっちに停めなおせ。白熊くん、いいな?」
誠「あの、それを言うなら私は入社してからずっとここに停めていたんですよ。なぜ今なんですか?」
寺橋「なんだとお前コラ!口答えか??舐めてんじゃねーぞっっっ」
食い気味に寺橋が叫んだ。周りからもヤジが飛んでくる。
柏木班「それを言うなら、休憩所のソファーの場所はもともとは俺らの場所だった、勝手に場所とってんじゃねーぞ!」
なんと、さらに激火してきた。しばらく怒号が飛び交った。
村上「まあまあ皆落ち着いてくれ。柏木班長にも話しておくから、以後はこちらの駐車場として、よろしく頼むよ、な?」
村上班長は図々しくも、まだ自分達の駐車場と言いはっていた。

去り際に寺橋とその取り巻きが勝ち誇ったように
「なんなんだ白熊がよー、びびってやがったぜ、調子こきやがってさ」
と小馬鹿にするように立ち去っていった。

誠はというと、その後、柏木班に慰められていた。柏木班になら入ってもいいかも、と、一匹狼も揺らいでしまいそうだった。

翌日、柏木班長と村上班長がなにやら話をしていた。誠は気になり柏木班長に尋ねてみた。
誠「先ほど村上さんとどのようなお話をされたんですか」
柏木「誠くん、昨日は災難だったね。君のことを聞いて不憫に思ったので村上君に注意してきたんだよ」
誠「すみません。昨日はトラブルを起こして巻き込んでしまいました」
柏木「君は悪くないよ。村上班は手荒いやつが多いいから困ったもんだよ。君も相手にする必要はない。私だって担ぎ上げられているだけで派閥なんて本当は馬鹿らしいのさ。それでも困っている彼らを見るとほっとけないんだ」
なんと。隣にいる柏木班長が輝いてみえた。人間とは不公平である。
こんなに尊敬できる人もいれば、下衆もいるのだ。

余談であるが、柏木班の若い衆の中にも下衆野郎がいることを知り、私はこの店舗では、最後まで一匹狼を貫くことに決めた。

それからも数年経とうが派閥同士の小競り合いは終わらなかった。
村上班を政治的に裏で操り陥れようと画策する柏木班。
何年経っても柏木班を差別的に扱う村上班。

誠からしたら、とんでもなくしょうもないのであった。

-第11話 完-

※このお話しは、Shirokuma_TAROの過去の実体験を着想した物語であり、人名等はフィクションです。

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