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ライブの当日は一切練習しないのよ
特に何を決めるでもなくランチに来た飲食店で注文が来るまで何か書く事にした。
今日は夜に久しぶりにライブなんだが当日はほぼ練習しないと決めている。当日の直前までガツガツと練習するといざ本番という時に力が出ない事を悟って以来、当日は一切の練習や音楽すら聴かないでぶらぶら散歩したり温泉に入ったりする様にしている。
ふと自分の手を見ると革手袋に付いた油で黒ずんで薄汚れたゴツゴツした手に見えた。昔インドに行く途中トランジットで降りたバンコクでタイマッサージを習った事があったが、そこのお姉さんにあのタイ語特有の鼻に抜けるアクセントの日本語で
「ア〜 この手ー 働かなーい。働かない手ねー。」
と言われたのが忘れられない。
確かにミュージシャンの手なんて重労働なんて全く縁の無さそうな綺麗な手をした人が多いだろう。タイはヒモになる男が多いと聞いたが当時の私も正にそんな感じだった。今の私の手はどうだろうか。
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アマプラで何気なく観た(僕を育ててくれたテンダー・バー)が良かった。普段はラジオでしか声を聞けない放蕩親父、母子家庭、結婚を後悔している母、文学好きでバーを経営する叔父、苦労して入った大学、クラスメイト、9回も失恋したのに諦められない恋人、作家への憧れと挫折、父親との確執etc... など自分が若い時もこんな風に時を過ごした事もあったなと共感する事もありかなり楽しめた。観ている途中から私の兄弟弟子でプロになりたいと言っている若者がいるが彼の事を重ねて観ている自分がいた。あいつも今はこんな感じなんだろうか。彼はプロを目指すにしては炬燵に入ってみかんを食べている時間が長過ぎる様な気もしている。いつか誰かが拾ってくれるとか。それもまた若者特有の思い込みだろうか。そんな事は起きないと気付くのが自分は遅すぎたし、演奏だけを生業に出来る熱心さも運も無かった。
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子役が監督したジョージ・クルーニーの幼年期を思わせる顔だったが青年になってからの配役がまるで別人になっていた。いくら何でもそんなに顔変わらんだろと少々突っ込みを入れたくなったが良い作品だった。
辰年の秋に経験した様々を演奏でも表現出来たら良いな。出来不出来はこの際二の次だ。さぁ料理が来ましたよ。ライブも楽しんで来ます。