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新不登校考㉒〜不登校と離職2〜

ちょっと前稿に加えたい事があり、パート2を作成しました。
「不登校問題は社会問題」という言葉があります。ということは、かかわりのない人はいないことになります。
そこで、企業、行政、学校を特に取り上げてできることを挙げてみました。これに地域をいれるか迷ったのですが、いずれということにします。


不登校と離職:親が仕事を辞めなくてもいい社会へ——企業・自治体・社会ができること


序章:「子どもの不登校で仕事を辞めるしかない」——それは本当に仕方のないことなのか?

「子どもが不登校になったから、もう仕事を辞めるしかない」
「働き続けたくても、子どもの支援を優先すると仕事との両立が難しい」

こうした悩みを抱える親が年々増えています。2023年度の文部科学省の調査によれば、小・中学校における不登校児童生徒数は約34万6千人と過去最多を記録しました(※1)。

しかし、本当に親が仕事を辞めなければならない社会で良いのでしょうか?
不登校の支援と仕事の両立が可能な社会を作ることはできないのでしょうか?

本記事では、「離職をしなくてもいい社会」 を実現するために、
企業ができること
自治体がすべきこと
学校が変わるべきこと
社会全体が目指すべき未来
を明確にし、具体的な提言を行います。


第1章:なぜ親は離職を選ばざるを得ないのか?

不登校の子どもを支えるには、日常的なケアが必要です。

学校とのやり取り(連絡・面談・進路相談)
精神的なサポート(カウンセリング・家庭での見守り)
学習支援(家庭学習の指導・教材の手配)
日常生活のフォロー(生活リズムの調整・外出のサポート)

しかし、これらを担いながらフルタイムで働くのは容易ではありません。
特に、共働き家庭やひとり親家庭では、仕事を続けることが困難になり、離職せざるを得ないケースが増えています。

🔹 離職を考える主な理由

  1. 仕事のスケジュールが柔軟ではない(フレックス制度や在宅勤務がない)

  2. 企業に理解がなく、休暇や時短勤務が取りづらい

  3. 学校や行政のサポートが十分でなく、親の負担が大きい

  4. 社会全体に「親が直接子どもを支えるべき」という価値観が根強い


第2章:企業ができること——「人手不足でも受け入れ可能な支援策」

① 人手不足企業でも導入可能な制度

短時間勤務・シフト制の中に「不登校支援時間」を組み込む。
不登校支援に特化した「在宅ワーク枠」の導入(データ入力、事務作業の一部リモート化)。
企業ごとの「不登校支援ガイドライン」を作成し、業種別に対応策を整備。
自治体と連携し、不登校支援を行う企業への助成金・税制優遇制度を確立。

② 企業が不登校支援に取り組むメリットを具体化

CSR(企業の社会的責任)としての評価向上。
人材の定着率向上(育成コスト削減)。
不登校支援企業向けの雇用助成金・税制優遇の導入。

🔹 事例:イギリスの「フレキシブル・ワーキング制度」
イギリスでは、従業員が柔軟な働き方を求める権利を持ち、企業が合理的な理由なしに拒否できない制度がある(※2)。
このような制度を参考に、日本の企業にも不登校支援のための柔軟な労働環境の整備が求められます。


第3章:自治体ができること——「不登校支援と労働を両立させる行政施策」

① 国と自治体が連携し「不登校支援特別予算」を設立

自治体主導で「不登校支援センター」を設立し、相談窓口を一本化。
「家庭支援ワーカー」を派遣し、親の負担を軽減(学校との連携を行政が支援)。
企業と自治体が連携し、不登校家庭向けの特別労働支援枠を創設。

🔹 事例:滋賀県の「福祉部局と教育部局の連携支援」
滋賀県では、福祉部局と教育部局が連携し、早期支援体制を整えることで、不登校家庭の負担軽減を実現 している(※3)。
このような自治体モデルを全国に広げることが重要です。


第4章:学校が変わるべきこと——「親の負担を減らす教育の仕組み」

スクールカウンセラーや適応指導教室の拡充(オンライン対応も含める)。
「部分登校」など柔軟な学習プログラムの導入。
学校と親の連携を効率化(定期的な情報共有・負担の少ない連絡方法の確立)。

🔹 事例:千葉県の「オンライン学習とフリースクール連携」
千葉県では、オンライン学習やフリースクールと学校が連携し、親の負担を軽減する取り組みが進められている(※4)。


終章:「親が仕事を辞めなくてもいい社会」を実現するために

「仕事か、子どもか」ではなく、
「仕事も、子どもも」支えられる社会を目指すことが、私たちのすべきことではないでしょうか?

企業が「不登校支援」を社会的責任として取り組む。
自治体が親の負担を減らす具体的な施策を推進。
学校が親の役割を軽減する仕組みを導入。


参考・引用資料

  1. 文部科学省「児童生徒の不登校に関する調査」令和5年度版(mext.go.jp)

  2. UK Government「Flexible Working Regulations」2023年(gov.uk)

  3. 滋賀県「福祉部局と教育部局の連携による支援」2023年(mext.go.jp)

  4. 千葉県教育委員会「不登校児童生徒の支援に関する取り組み」2023年(chiba.lg.jp)


いかがでしたでしょうか?
そのうち、離職するとなったら…という視点でも記事をあげたいと思います。

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