
7月の色校が出そろいました!
「そもそも色校って何?」
色校とは、正式には「色校正」といいまして、著者やデザイナーさん、編集者などが、思った通りの色で印刷できているかを、実際の印刷を始める前に確認するための試し刷りのことです。カバーや表紙など、カラーで印刷するものは必ず色校をとります。絵本や写真集などのオールカラーの書籍では、本文ページも色校をとることがあります。
■7/9発売
『ガングロ族の最期 ギャル文化の研究』(著者:久保友香)
かつて渋谷には、ヤマンバ、マンバなどと呼ばれた極端に肌を黒く焼いた「ガングロ・ギャル」がいた。彼女たちはどのようにして生まれ、そして消えていったのか。戦後日本のメディア環境と日焼けスタイルの歴史から、ギャル文化の源流をスリリングに読み解く!
カバーに起用された絵画は、現代美術家・近藤智美さんの「フリムンの踊り」(2021年・キャンバスに油彩・116.7cm × 91cm)の作品です。

近藤さんは元ヤマンバ。「フリムン」とは「狂った人」「愚か者」という沖縄地方の方言。
そして、「Artcollectors」No.157という雑誌のインタビューで、下記のように語っています。
「男性側から見た女性の恨み辛みを、謎めいた美しい描写で時におぞましく描かれる幽霊画を見るたび、死んだことにも気づいていないような、世の執着や情念から解放された、たくましい精霊となった幽霊画を描いてみたいと取り組んだ作品です。背景は奄美大島を取材しました。昨今のジェンダーについての生きづらさや鬱屈した状況をヤマンバは包括し、社会に問う存在として描いています」。
またHPでは、このように補足されています。
「背景の植物は、奄美大島に自生するアダンやソテツ、デイゴ、ヒカゲヘゴ、ガジュマルなど。エクステは琉球列島に生息する魚、イズハナダイ、セナスジベラ、キンチャクダイ、シチセンベラ。ピアスにしている「とびんにゃ」という貝は、奄美の居酒屋では定番のおつまみ。左上ナンヨウソテツの陰にルリカケスが隠れている。口に咥えたネズミは絶滅危惧種であるトゲネズミを参考にし、ネズミを捕食しているのか、敵から守っているのかは見る人次第で余白を残している。森を歩きながら、こんなものに遭遇してしまった時の新鮮な驚きのような鑑賞体験と同時に生きる力がアップする魔除けのような絵が描きたかった」。
そう、このスーパーラット(by Chim↑Pom)ならぬ、アマミトゲネズミを咥えているヤマンバは、実は幽霊で、自分が死んでいることに気がつかずに、ジャングルの中で踊っているのです。クレイジーなほど、本書の内容を象徴しているように思います。
しびれるほどに完成度の高いブックデザインは、鈴木成一デザイン室。面白さ保証付き、ぜひともご一読を!

■7/9発売
『新版 ワインの授業 フランス編』

1週間でフランスワインがわかる!
2015年の刊行から待望の新版として大幅改訂!
「教えるプロ」明日香先生が目の前で授業をしているような臨場感で、スラスラ読めて、わかりやすい。
教えるプロの手にかかれば、複雑なワインの世界もこんなにすっきりとわかりやすいものに!

1週間の講義形式でワインの世界がひらかれるすばらしい一冊です。
ブックデザインは鈴木成一デザイン室さん、イラストはくぼあやこさん。
ご推薦は角田光代先生、福岡伸一先生でございます。
資材は以下のとおりです。
カバー モフル ミルク 四六判Y目110kg
帯 クラフトペーパーホワイト ハトロン判T目129.5kg
表紙 ハイ-アピスNEO ウルトラホワイト 221.0g/m2
見返し NTラシャ モスグリーン 四六判Y目100kg
別丁扉 里紙 古染 四六判Y目70kg
本文 b7ナチュラル A判T目50.5kg

↑今回はカバーの色校を「DIC2098」「DIC2100」の2パターンで取りました。

↑左側が9年前の旧版、右側が今回の新版になります。


スーパーやレストランでこれまでなんとなく選んでいたワインを、もっと積極的に、味と香りを予想しながら選べるようになれば、毎日の食事はもっと楽しくなるはず。ワインと付き合うための、最初の「壁」の越え方をお教えします。
本書は毎日1章ずつ読むと7日間、つまり1週間ですべての内容を学んでいただくことになります。1週間かけて、フランスの各ワイン産地をめぐり、その地方のワインについて体系的に知ることができます!
■7/18発売
『愛されて育ったでかい獣人の話』
「さっきの人たち何の話してたんだろ…おれがかわいいって話かな?」

数々の賞金首を葬ってきたと、周りから恐れられているベテラン賞金稼ぎ「エリック」&相棒の獣人「ヴォルフ」。
でも、実際の姿は正反対で──!?
自己肯定感のMAXなかわいい獣人ヴォルフと、ヴォルフを溺愛している心優しき賞金稼ぎエリックの1人と1匹が紡ぐ、ファンタジーほのぼのデイズ!

デザインを担当いただいたのはナルティスの井上愛理さん。
今作は兎にも角にも、「自己肯定感が高い天真爛漫な獣人ヴォルフ」と「強面だけど優しい賞金稼ぎエリック」のキャラクター性&関係性が魅力的な作品のため、この魅力を全面的に押し出したデザインでまとめました。
また作品のテンション感に合わせて、黄色とオレンジをベースにした元気が出るポップな色合いに。

カバーのそでから、カバーをめくった本体表紙まで、遊び心や獣人の可愛さがぎゅっと詰まった仕上がりになっておりますので、ぜひお楽しみいただけましたら幸いです!
▼試し読みはこちら!(COMICポルタ)
今月は3作品をご紹介しました。
是非、書店でお手に取ってご覧ください!