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台灣におけるタイ料理についての調査計画(リサーチプロポーザル)

台灣で調査をすることになった背景

ぼくは現在琉球大学の社会人類学ゼミに所属しているのですが、そのゼミでは、毎年台灣で夏季休暇中に各々自由にテーマを決めて調査を行っています。一応授業の一環ですが、参加を自由です。

今年も例年通り台灣に行くということで、ぼくも参加することになりました。卒業研究でトムヤムクンを中心としてタイ料理について調査をして卒論を書く予定なので、それと関連して、台灣におけるタイ料理について台中で調査をする事になりました。

正直に言うと、台中よりも桃園など新住民と呼ばれる外国人労働者が多いエリアでやるべきだとおもうのですが、ぼくのゼミと台中の靜宜大學間で交流があり、現地の学生が案内してくれ、大学の施設に安く泊まらせていただけるということで、今回は台中をメインに調査することにしました。

調査の背景と目的

近年では、タイ政府のサポートもあり、海外でタイレストランが増加している。タイ政府は、認定制度なども導入しながらタイ料理を文化資源、ソフトパワーとしての活用を推進する施策を実施しているように思われる。

一方で、台灣では、労働者不足などの問題から、積極的に東南アジアからの労働者を受け入れようとする政策が実施されている。それに伴って、東南アジアからの人の流入が増加し、彼らは、新住民と呼ばれている。もちろん、人の流入があれば、彼らの文化の流入も起こり、東南アジア料理や商品を提供する店も作られるようになる。

本調査では、タイが文化資源として売り出しているタイ料理が台灣においてどのように受容されているのかを台灣の移民事情と関連させて調査する。台灣においてどのようにタイ料理が台灣の文化に融合し、そのなかでエスニシティやオーセンティシティが表現されるのかやタイ料理店がどのように対人コミュニティの形成に寄与するかを探りたい。

場所と手法

場所は主に台中で、実際に東南アジアやタイの商品を扱う店や飲食店に行って店の様子やメニューを観察し、可能なら、インタビューをする。また、一緒に調査に行ってくれる台灣の学生の意見も参考にする。

年表

1945 日本による植民地統治終了
1947 中華民国憲法第108条第16項:中央政府の責務:住民と辺境拓殖
1969 中華民国人口政策綱領第14条:移民法案を策定する。国内の地域間人口移動を計画的に実施し、または海外移民へ指導する。 
1978 中国改革開放政策実施
1987 中国への渡航制限緩和
1988 行政院会議の決議:内閣は外国の移民制度や移民法を参考にし、国の移民政策制度を開始する。
1989 ブルーカラー外国人労働者受け入れ開始
1990 我国現段階移民輔導措施:移民政策の主な内容:第1に正確な海外移民情報の提供。第2に、集団移民の計画。第3に、海外移住予定の国民に言語教育と生活技能教育を提供。
1992 加強推行人口政策法案:移民、国境管理、査証、外国人管理のために、移民法の検討、移民管理機構の設立を次の政策目標とする。
1992 製造業での外国人労働者受入
1993 南向政策を打ち出す
1996 原住民委員会設置
1997 アジア金融危機
1997 改憲 中華民国憲法増修条文第十条第九項に「国家は多元文化を肯定し、積極的に原住民族の言語文化を護り発展させる」とする文言が書き込まれる。
1999「出入国移民法」整備。初めて永住権が整備される。
1999 内政府による「外国籍花嫁生活適応指導プロジェクト」実施
2001 客家文化委員会が行政院に設立
2003 内政府による「外国籍配偶者生活適応指導プロジェクト」実施
2005 「外国籍配偶者ケア指導基金」設置
2005 台湾帰化テスト導入
2014 東南アジア諸言語を初等教育の言語教育の一部として取り入れることが定められる。2019年実施
2016 新南向政策を打ち出す

参照
・許之威 2012 「「国語」,国家と移民政策 台湾の帰化テスト政策の形成を中心に」『移民政策研究』4:128-143
・高橋萌 2019 「台湾における新移民支援の展開とその拡大要因に関する考察」『慶応義塾大学大学院社会学研究科紀要 : 社会学心理学教育学 : 人間と社会の探究』87:1-18
・寺山学 2019 「【台湾魅力発信】林麗蝉・立法委員特別インタビュー」 公益財団法人日本台湾交流協会台北事務所
・洪博文 2020 「台湾の「南向政策」・「新南向政策」における日台企業」『Journal of Taiwan studies, Takushoku University』4:77-108

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