量子もつれ
量子もつれ”の世界を伝えるNHKスペシャル「量子もつれ アインシュタイン 最後の謎」を見ました。
数式はまったくわからないのだけれど、感動したことをいくつか。
最後のほうで、2022年にノーベル物理学賞を受賞したアラン・アスペ氏が、実在について「これは今までは哲学の問題だったが、最終的にはうまくいった(科学が解き明かした、という意味かな?)」と言っていたのが印象的だった。
ものごとの真理を探究するという意味では統合されるものなのだろうなと思う。
番組内でも同じようなことが述べられていたけれど、昨今の科学は、基礎科学的なところではなく、科学技術に寄っているという印象があるし、メカニズムはわからなくても使えるなら使っちゃえ的な傾向が強いように感じている。
役に立つならいいのかもしれないけれど、安易に技術に走ると破壊的になることもあるのではと思う。人類に役に立っても、他の生命や宇宙全体に対して害になってるかもしれないので。
そして、世間一般や同じ科学者たちからも、儲かりもせず、何に役立つかわからないものをひたすら探求し続けることで、批判や非難を浴びようと、量子もつれの問題を探求し続けてきた研究者たちが脈々といたのだ、ということに、感銘を受けた。
自分が受けたインスピレーションや自分が持つ違和感に真摯に、こつこつと向き合い続けてきた、長い積み重ねによるものであり、そこには失意と挫折と苦難も含まれていると思うと、胸に迫るものがある。
ナレーションをつとめた宇多田ヒカル氏は、
「ナレーション初挑戦でしたが、現場の皆様のおかげで和やかに、学者たちのインタビューに感動して時折泣きそうになりながら、最後まで楽しく収録できました。」
と、インタビューに答えている。わたしも泣きそうになったところがあった。
アラン・アスペ氏はさらに「私たち人類は世界に対する見方を変えなければいけない」とも、最後に語った。
同じく2022年にノーベル物理学賞を受賞したジョン・クラウザー氏は現在では量子力学の実験を離れ、趣味のヨットレースに没頭している、という姿を見た時に、今世で「ああなりたかった自分」だと思いました。なぜか(笑)
そしてホログラフィック宇宙論なんて、オカルトと言われていたと思うのだけれど、この流れで出てくるというのが感慨深く思った。
この宇宙をつくっているのは周辺にある量子もつれで、それにより時間と空間ができたことが説明できるかもしれない、という話は、周縁から来る力が私たち生命存在に影響しているというシュタイナーの話と類似している。また、実在は、あいまいで不安定なものだという捉え方はまさにインド哲学やその後のオカルト科学で言われる、この物質世界はマーヤであるという話と繋がる。
「神」という言葉よりも、宇宙の中心にある力というような感じで言われた方が、自分はピンとくるのだけれど、さしているものは同じだったりする。結局、科学と哲学、また宗教が扱うような霊的分野はいずれ、人間の知性によって統合されるのだろうと思う。
スピリチュアル的なものを信奉する人は安易に量子論とスピな論考をむずびつける傾向があるので、それは危ういこともあり、気をつけなければいけない。
自分の脳も、数学的思考が苦手なので、来年はその辺を意識して鍛え、死ぬまでにはもうちょっと宇宙に関する理解を深めたいと改めて思った。
いろいろあった2024年だけれど、人類はそれでも進化しているということを感じることができ、希望をもって2025年を迎えられると思った大晦日。