カナダのマーケットガーデナー JMについて その②
学生時代
20代の頃、生態学と環境科学についてカナダのマギル大学で学んでいました。そこで今の妻と出会います。基本的には生態家の崩壊について3年間学んでいました。その後環境問題に関わる仕事をしていたが、なにか違いました。。JMも妻も家は農家では無く周りにも農家は少なく、子供の時はスケートボードやスノーボードをしていて農業は身近なものではありませんでした。
大学を卒業してからメキシコに旅行に出かけたときに妻と一緒にフェアトレードのコーヒー農園で働く。そのあとウーフーを利用してニューメキシコのサンタフェにある農場でスタッフとして働き始めます。その農場ではすばらしいフレンチカナディアンの農場長がいました。その農場で「農業」というものを教えてもらい、コミュニティーとしての大きな役割や農家としてのすばらしい生活スタイルを学びました。美しいニューメキシコの農園の中で体を使って野菜を収穫する楽しさや、収穫した野菜を求めて街の人々がファーマーズマーケットで列をなして並んでいる光景が脳裏に焼き付きました。
その農場の野菜がどんどん売られていきキャッシュボックスに瞬く間にお金が入っていく様子に感銘を受けました。半日で3000ドルの売り上げになっいたのです。
JMは大学時代にスキーのリフト整備のバイトをしていたが、1時間で6ドルの賃金であったのでなおさら驚きました。
十分なお金を稼ぎながらお客全員に感謝されて、地球環境にも貢献しているこの農業スタイルに感銘を受けて農業をしたいと考えるようになります。
この農場にそのあと1年と半年過ごしてからケベックに戻り農業をスタートします。
キューバの有機農業
ケベックに戻って農業を始めますが、従来のトラクターを使った農法ではなく、ハンドツールで行うスタイルの農業を始めます。そして、冬の間ケベックは寒くなって栽培が出来なくなるので今度は数ヶ月キューバに行く事になります。大学でキューバの事を勉強しておりキューバではオルガノポニコというスタイルの畝を固定する方法がとられていました。
*ここでキューバの有機農業について補足すると少しキューバの有機農業は進んでいて100%有機農業で自給していると聞いた事があるかもしれませんが、西尾道徳の環境保全型農業レポートによると化学肥料も使っていて、100%有機農業で自給している事実はないとしています。さらに指摘するのであればクラシックカーなどの排気ガスの問題や有機農業の明確な定義もなく栽培されているので、そもそも有機農業といえるかどうかも分からないという事です。
JMはトラクターを使わないオルガノポニコを使った生産性の高い農法にインスパイアーされて、ケベックに帰ってセメントを使わない固定畝栽培を始めました。
そして、トラクターを使わない小規模農家向けの道具の開発も年数を重ねる毎に発展してきました。同時に生産性の高い栽培方法や効率的な収穫出荷方法も開発されています。
「the market gardener」を書籍化
世界中で翻訳されている「The Market Garden」ですが、これは小規模農家の技術的な部分に焦点を絞って書かれています。最初フランス語で書かれたこの本は瞬く間にベストセラーになり、すぐに英語に翻訳されました。15万部の売り上げになっています。今では8カ国語に翻訳されており(日本語には翻訳されていません)この5年間でアメリカからオーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、フランス、クロアチアなど世界各地を冬の間まわってきました。
そこで老若男女問わず色々な人達とワークショップを通して、この農業スタイルを伝えてきました。そこでますます小規模農家というスタイルの農法を知りたい多くの人達がいることを知って伝える必要を感じています。
次回は今JMが若手農家の育成の為のプロジェクト農園の活動についてお伝えします。