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【試合観戦記】 5/19楽天2-3xオリックス:「またか・・・」通算160勝お預け。流れを呼び込めない今季の岸孝之

最速152キロ。齋藤響介の快速球に打線タジタジ

今季2度目のサヨナラ負けを喫した楽天は、これで6カード連続勝ち越しなし。借金も4/19以来となる今季最多の5にふくらんでいる。

じつにもったいない。5/10~5/12西武3連戦も、5/14・5/15ソフトバンク2連戦も、そして今回の3連戦もカード頭をとったのに、その有利な状況をいかせず、試合を落とすケースが続いている。

3・4月が得失点差-28で借金3を作ったのに対し、5月は打線の状態が上向いて大勝した2試合の影響も大きく得失点差は+9。にもかかわらず6勝8敗と黒星先行は残念。2戦目3戦目をとりきれないことこそ、チームが波に乗りきれない原因だろう。

オリックス先発は高卒2年目19歳右腕の齋藤響介。盛岡中央高から2022年ドラフト3位でオリックス入り。

北海道・東北を担当する楽天の益田大介スカウトも追いかけていた逸材だが、同年ドラフトで楽天は1位・荘司、2位・小孫、3位・渡辺、4位・伊藤茉、6位・林と大卒・社会人の即戦力投手中心になったため、地元の星ながらも縁がなかった。

オリックス・齋藤響介 2024年2軍投手成績

昨年は高卒1年目ながらファームで11登板36回で防御率2.25の好成績を収めたが、今年は5登板24.2回で3.28。

上記表のとおり、投球回をうわまわる25奪三振を記録するいっぽう、フォアボールも多く9イニング当たりで5.84個を出している。WHIPも1.58と高く、2軍の成績だけをみれば、初顔合わせは打線不利とされるなかでも、5月打線好調の楽天に勝機あるのでは?と思われた。

実際、この日、齋藤は変化球を有効的に操ることができなかった。

全体の41.0%で投じた変化球のストライク率は41.2%と5割を割り込む低い数字。そんな感じだったから、2-0、2-1、3-0、3-1、3-2といったボール先行カウントから投じた17球のうち16球はストレートだった。

当然、楽天打線も真っ直ぐ狙いだったはずだ。

しかし、その真っ直ぐがえげつなかった。

最速152キロ、平均147.6キロはSlugger名鑑の寸評どおり「驚異的なストレートの伸び」ということなのか、空振りさせられるケースは少なかったが、初見では攻略できず、当該17打数3単打3三振に封じられた。

立ち上がりの齋藤は球が暴れる場面が多く、また高めに浮くケースも目立っていた。アジャストに苦労しているところ、1回2死走者なしで第1打席がまわってきた浅村栄斗が、初球から真っ直ぐを狙っていく。しかし結果は左飛。打ち損じとも言えるイージーフライに倒れた。

2回無死1塁の鈴木大右飛
同1死1塁の平良中飛
4回先頭浅村の左飛
5回先頭辰己の左飛
6回先頭小深田の右飛

など、良い当たりも野手正面をついたり、外野後方で失速するケースが続出。初見の難しさに加え、本戦でも飛ばなすぎるボールが楽天打者を悩ませたと言えそうだ。

また、この日は四死球ゼロだった。
ファームでは与四球率5.84だったので、複数個出すかな?と思いきやだ。

楽天打者の粘りも乏しく、2ストライク以降のファウルは2回辰己の1球だけ。球数7球以上投げさせたケースもゼロと、かつては四球出塁能力の高かったお家芸が今シーズンは陰りが生じているその傾向を、ここでも踏襲するかたちになった。

試合展開

楽天=1番・小郷(右)、2番・村林(遊)、3番・浅村(三)、4番・島内(指)、5番・鈴木大(一)、6番・平良(左)、7番・辰己(中)、8番・石原(捕)、9番・小深田(二)、先発・岸(右投)

オリックス=1番・福田(中)、2番・西川(左)、3番・中川(右)、4番・森(指)、5番・紅林(遊)、6番・宗(三)、7番・太田(一)、8番・西野(二)、9番・若月(捕)、先発・齋藤(右投)

両軍のスタメン

今年の岸は踏ん張ることができていない

先発の岸孝之はこのカード3戦目になったが、6回6安打2失点(自責1)でオリックス戦3試合連続クオリティスタート。
それも6回2失点、6回1失点、6回2失点だ。6回3失点が1度もないのでレベルの高いQSのほうだ。

初回失点も1死1塁で5-4-3併殺コースかと思われた打球を浅村が2塁悪送球。
1死3,1塁とピンチを広げて森友哉に先制犠飛を打たれたというかたちだった。

ただし、踏ん張れなかったのも事実だ。

今季はQS率71.4%を記録する岸。これはタイトルを獲った2018年の69.6%をも上まわる数字。にもかかわらず、1勝4敗と黒星先行する背景の1つには、7先発中5登板で序盤2回までに先制を許していることにある。

今季の楽天先発陣で序盤2回までに先制されたケースは17回。
その内訳は下記のとおりで、かつて当noteが「Mr.安定感」と呼んだベテラン右腕が、ダントツの多さを記録している。

5回・・・岸孝之
3回・・・ポンセ
2回・・・荘司康誠、早川隆久、藤井聖
1回・・・内星龍、瀧中瞭太、松田啄磨

序盤2回までに先制点を献上した楽天先発投手

パリーグの得点環境は、今や1試合平均3.16点。前年比0.29点減だ。
岸がタイトル獲った2018年は4.26だったから、あのときと比べると1.10点も減った。

得点環境がこうもシュリンクしてしまうと、序盤で先制点を与えてしまうダメージが従来以上に大きくなってしまう。

もちろん、先発がいつまでもゼロを並べることは不可能だし、打線との兼ね合いもあるが、せめて序盤2回まではゼロに抑えてほしい。そういう視点に立つと、今年の岸は安定感に欠けるとも言えるのだ。

岸孝之 球種別の投球診断表

辰己どうした?辰己なぜ?

サヨナラを許した延長11回は、2死走者なしからの失点劇に。

酒居知史が2死走者なしから点を奪われたのは、昨年6/23西武戦(楽天モバイル)で同点の8回2死走者なしから安打、四球で2,1塁になった後、中村剛也に左中間フェンス直撃の2点ツーベースを浴びて以来になった。

11回は・・・(続く)

...続きは『Shibakawaの楽天イーグルス観戦記2024』でどうぞ。

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