【試合観戦記】 4/7ソフトバンク2-3x楽天:9回裏サヨナラを決めた鷲のベテラン三銃士。藤井聖を苦しめた気になる指標
今シーズン2度目のサヨナラ勝ち
「威圧感」と「経験」のなせるわざだった。
9回裏、今季2度目のサヨナラ劇を作った当事者の年齢は、33歳、34歳、34歳。ここまで不振に苦しみ、あるいは出場機会に飢えていたベテラントリオが、3時間30分の攻防に終止符を打った。
ソフトバンクはこの回からドラフト5位の澤柳亮太郎がマウンドへ。
ベンチには又吉克樹、杉山一樹、オスナらも控えていたなか、小久保裕紀監督が「期待」をかけて送り出した社会人卒24歳右腕だった。
しかし、ルーキーのプロ2登板目にしてはシチュエーションが厳しすぎる。
敵軍からみれば2点先制も、その後に追いつかれ、9回表1死2塁の勝ち越し機を逃して迎えた9回裏だ。舞台はビジター。しかも先頭打者は4番・浅村栄斗。数々のタイトルをモノにし、今季は平成生まれ初の2000安打に挑むスラッガーだった。
18.44mで対峙する相手は、テレビで見たことのあるレジェンド、野球ゲームで使ったことの大打者なのだ。
敵軍のルーキーは、威圧感と緊張感に一気に飲み込まれていく。
初球、2球目と外角狙いが左打者のバッターボックスへ大きくはずれた光景は、まさにそんな心理状況を象徴していた。
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ソフトバンク=1番・周東(中)、2番・今宮(遊)、3番・柳田(右)、4番・山川(一)、5番・近藤(左)、6番・栗原(三)、7番・ウォーカー(指)、8番・海野(捕)、9番・牧原(二)、先発・スチュワートジュニア(右投)
楽天=1番・小郷(右)、2番・小深田(二)、3番・茂木(一)、4番・浅村(指)、5番・岡島(左)、6番・鈴木大(三)、7番・辰見(中)、8番・太田(捕)、9番・村林(遊)、先発・藤井(左投)
前の打席の右翼線ファウルがサヨナラの布石に
結果、浅村は威圧感を遺憾なく発揮し、1度もバットを振ることなく4-1四球。
続く5番・岡島豪郎がきっちり送りバントを決めると、1死2塁で決めたのは、ここまで8打席ノーヒットとHのランプに恵まれなかった鈴木大地だった。
フルカウント7球勝負だった。
そのうち真っ直ぐは外角いっぱいを狙ってわずかにはずれたボール球の1球のみ。徹底した変化球勝負になった。
これには前の打席から続く伏線があった。
2-2の同点で迎えた7回1死2,1塁、鈴木大は津森宥紀&甲斐バッテリーの前に6-4-3の併殺打に倒れてしまったが、その打席の中で右翼線ギリギリを襲う痛烈ライナーファウルを弾き返していた。リクエストにまでもつれこむほどライン際ギリギリ、紙一重のファウルだった。
このときの球種が149キロのストレートだったわけだ。
元々、大地は右投手のストレートに強い。
当該打率は2021年.329、2022年.317、昨年は若干数字を落としたものの.298と約3割を記録している。
昨年打った主な面々を書き出すと、髙橋光成、松本航、山下舜平大、北山亘基、村上頌樹、髙橋宏斗、田中正義、今井達也、ワゲスパック、豆田泰志、上沢直之、スチュワートジュニア...そうそうたる顔ぶれ。しかもその32.1%は長打に化けているのだ。
途中からマスクをかぶった甲斐は、そういう傾向を知っていたかもしれないし、ましてや前の打席で痛烈ファウルを打たれたのを味わえば、9回裏のサヨナラ機で真っ直ぐは使えない。そういう判断に傾いたものと思われる。
また、鈴木大も真っ直ぐは来ないとわかっていたはずだ。
試合後の各種報道ではその辺を訊いた記事は出ていなかったが、変化球に狙いを定め、右翼線へとリベンジの殊勲打につなげたのだと思う。
この日、ソフトバンクの・・・(続く)
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