「にじいろガーデン」 小川糸
小川糸さんの本を久しぶりに読んだ。
最近は短編やエッセイばかり好んで読んでいる私には分量多めな本で読みごたえがあった。
何回かに分けてゆっくり読んでいった。
このお話は、家庭に悩む女性と自殺しようとしていた女性がつくる、家族のお話だ。
なんだか、とてもゆっくり時間が流れていったような気がする。
物語の描き方がとてもやさしくて、やわらかくて、色とりどりのクッションの上でのお話みたいな感じがする。
でも確かに物語は動いていて、生きていて、その力はとても伝わってきて。
人間のやさしいところが詰まったお話だった。
小川糸さんの本はこれまで何冊か読んだけど、こういうほっこりするような人の優しさとか温かさとか、弱いながらも支え合って生きていく姿とか、そういうのがうまく描かれている。
好きだなあ、。
以下ネタバレを含みます。
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この本はLGBTQについての本だった。
この本を手に取ったときはそんなこと全く知らなかったので、最初のほうでそれがわかったとき、そういう話か!初めて!と思った。
これまでそういう小説を読んだことがなかった。
でも読み進めていくうちに、このふたりは男女ではないんだということをほとんど意識しなくなった。
「にじいろガーデン」というタイトルも、途中はレインボーフラッグを意味するにじいろかと思っていたが、読み終えた今はそうではなくて、この世界に希望を持つためのにじいろなんだと思えた。
この物語は、LGBTQに関する物語でありながら、読者にそれを感じさせないことで、LGBTQの本質を伝えていると思う。
LGBTQだからどうとか、障がい者だからどうとか、そういうことじゃなくて。
最後、家族が離ればなれになって、前を向けない2人が、ようやくいすを動かしてコーヒーを飲めるようになる。
その庭がにじいろガーデンになって、それを見た人が、草介が、おチョコちゃんが、この世界はきれいだなぁと思えますように。
「虹色憲法」
自分には決して嘘をつかない。
一日に一回は、声を上げてげらげら笑う。
うれしいことはみんなで喜び、悲しいことはみんなで悲しむ。
絶対に、無理はしない。
辛かったら、堂々と白旗をあげる。