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父を看取れば

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2018年の夏に日本にいる父が脳梗塞で倒れました。そこから約半年の家族のドタバタを通して、日本の「看取りと介護」について考えてみました。
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2021年2月の記事一覧

4. 家に帰りたい!父のリハビリ <父を看取れば>

最期の時を迎えるまでに父は、3つの病院で時を過ごした。 急性期に1ヶ月居たS病院。その次の3ヶ月を過ごしたN病院。そして看取り介護(1ヶ月)を受けたB病院である。 S病院では、危機を脱した翌日からリハビリが始まった。回復の見込みがないことは、ほぼ明らかだったのだが、多分それが脳梗塞患者への”通常のプロトコル”なのであろう。 療法士はとても親切な男性で、毎日1時間、父を支え励ましながら歩行訓練をしてくれた。毎日病院に通った母もリハビリに立会い、よろける父を助けた。父は持ち前

3. 「経管栄養」の決断を迫られた母 <父を看取れば>

脳幹梗塞は、脳幹部の血管が詰まることにより、周辺部の脳細胞が壊死して症状がでる病気だ。この診断を受けた父には、すぐに色々な障害が出てきた。手足(特に右側)と顔が麻痺する。ろれつが回らず、飲み込みができない(嚥下障害)等...。 入院の準備をバタバタとし睡眠もあまり取れなかった母は、すぐに難しい決断を迫られた。 「栄養補給について」だ。「飲み込む力がないので、体にチューブを入れて直接栄養を入れるしかありません。胃ろうか、鼻から管を入れて胃に栄養を送る方法がありますが....」