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河野裕子・永田和宏『たとへば君』『家族の歌』
この記事は、日本俳句教育研究会のJUGEMブログ(2018.04.07 Saturday)に掲載された内容を転載しています。by 事務局長・八塚秀美
参照元:http://info.e-nhkk.net/
歌人夫婦(河野裕子・永田和宏)の40年間の相聞歌集『たとへば君 四十年の恋歌』と、家族(全員歌人)のリレーエッセイ『家族の歌 河野裕子の死を見つめて』。
高校の国語の教科書にも載っている表題歌。毎回授業の頭に、俳句やら短歌やら詩やらを紹介しているのですが、このお二人の相聞歌は生徒達のウケも良く、何回か連続で紹介することが多いです。
たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか 裕子
きみに逢う以前のぼくに遭いたくて海へのバスに揺られていたり 和宏
~たとえば君~
二人が出会った時裕子さんには恋人がいた、なんてエピソードを付け加えるまでもなく、生徒達にはハッとさせられる一首のようです。
~君に逢う~
逢うと遭うが効果的で、「君と出会って見方も考え方もすべて変わってしまった」なんて言って(言われて)みたい高校生の心を掴みます。
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大学時代に出会った二人は、結婚し、裕子さんが乳ガンで亡くなるまで添い遂げます。歌人夫婦ならではの相聞歌集で、発病後は目の前にある「死」が当たり前のことのように詠まれていきます。裕子さんは、死の前日まで詠み続け、夫和宏さんと娘紅さんが最期を看取りました。
手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が 裕子(絶筆)
あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない 和宏
永田家は皆が歌人という珍しい家族構成。「歌なら本音がいえるから」との裕子さんの発案で始められた、死を挟んだ二年間の家族のエッセイ集『家族の歌』も、様々な切り口で生徒達に紹介できそうな一冊です。エッセイに添えられる短歌がより心に染み渡ってきます。