加藤千恵『ハッピー☆アイスクリーム』
加藤千恵さんの17歳の時のデビュー歌集『ハッピーアイスクリーム』のリミックス版とも言える一冊。オリジナルの短歌全てに加えて、自らの高校生の時の短歌を元にした高校生を主人公とした切ない青春小説5編を収録。
高校生の短歌……というと、いかにもありがちな恋の歌を想像するかもしれませんが、いえいえ、甘っちょろいとこで終わらないリアルなナマの女子高生がそこにあります。また、これを元にした短編も、これまた少しずつヒネりがきいていて、願い通りには進んで行かない現実を受け止めようとする等身大の高校生が浮かび上がってきます。もちろん、授業で担当している高校生たちに紹介しました。
「ハッピーアイスクリーム」とは、「会話中、偶然同時に同じ言葉を言ってしまった時に言い合う言葉」で、早く言えたほうが勝ちとか、アイスをおごってもらえるとかというものです。まさに、短歌も小説も、どれも高校生が「ハッピーアイスクリーム」と思わず口ずさんでしまうような高校生「アルアル」感でしめられた一冊でした。