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発達障害と栄養の関係
12月13日金曜日、年休を取って広島県へ行って来ました。
10時から12時までの2時間は、押田恭一先生のご講演を拝聴しました。ご発表内容が最新の研究内容で、おそらく今後発表されるのが理由だと思うのですが、配布資料はありませんでした。しかし、その内容は「なるほど〜」と思うことだらけだったので、その一部を紹介。
まとめ
いきなりまとめですが、公演の最後に「本日のお話したこと」ということで一枚のスライドにまとめてくださいました。
人生のはじめの1,000日(First 1,000 days)が将来の様々な疾病の発病に相当影響しています。これには発達障害も含まれます。
魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、神経細胞膜の柔軟性を増やし、脳機能の向上やうつの予防に関係しています。
発達障害の方は、偏食が多く、そのため、栄養が偏り、メンタルの状態に影響があります。
腸内細菌叢を整えることが、発達障害の症状を良くすることが最新の研究でわかってきました。
ビタミンDは日本人のほとんどが不足・欠乏状態で、精神を安定させるセロトニンの生合成に必要です。
ビタミンDの発達障害のお子様への投与は効果があります。
鉄は、発達障害で不足していると考えられているドーパミン代謝に関係していて、その投与には、発達障害の症状の改善に効果があります
腸内細菌はコントロールが可能
なんでも「遺伝」に関わるものが多いという印象がありますよね。体質であったり性格であったり、健康・不健康といった点です。確かに遺伝子的に伝わる部分はありそれは変えられないわけですが、腸内細菌を整えることは食事でコントロールできます。
例えばビタミンDの話。日本人の97%は欠乏しているそうです。25μg以上あれば「ビタミンDの充足」という範囲に入るらしいのですが、ほとんどの人が欠乏に入っています。ビタミンDは太陽光やキノコ・魚類から得られるもので、ビタミンDはトリプトファンに変わり、そこからセロトニン、メラトニンと生成されるようになるようです。しかしこれが不足すると体内でセロトニンが作られずストレスが溜まりイライラしたり鬱症状が出たりし、さらにはメラトニンも作られなくなるので、睡眠障害が起きたりするそうです。100μmgまではサプリで摂っても良いそうなので、押田先生は25μgのビタミンDサプリを摂っていると仰っていました。
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これは講演内容のほんの一部ですが、腸内フローラを整えることも重要で、ヨーグルトの話もされていました。腸内フローラには多くの菌がいることは知られていますが、人によって体に合う菌と合わない菌があるそうで、ヨーグルトを飲んでいても育つ菌は人によって違うらしいです。やや記憶はあやふやなのですが、ビヒダスヨーグルトの菌は日本人の多くが保菌しているようです。
ちなみにヨーグルトは、賞味期限日に表示されたビフィズス菌の量がないと基準に満たないことになるらしく、出荷当初が一番ビフィズス菌が多く存在しているそうです。菌の量が減るなんて思ってもみなかったので、早めに食べた方がいいのには驚き。空気に触れると菌が死ぬので、あの薄い液は空気から守るためにあるそうです。捨ててはダメだそうです、飲みましょう。
発達障害と栄養の関係とは?
ある子が、トンカツの衣を剥がして食べます。
ある子が、イチゴを食べられないと言います。それはなぜでしょう?
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それは感覚情報の精度が高く、衣のトゲトゲが恐ろしくて、苺のつぶつぶが気持ち悪くて、食べられないのです。これを一般的には偏食と捉えます。ここから、いろんな栄養素が足りなくなり、例えば亜鉛不足になれば成長障害や元気のなさ、倦怠感が出たりするようになります。
しかし、先にも述べたように栄養に関してはコントロールができるのです。食に関しては、もっと考えていくべき内容かなと、私自身聞いていて思いました。
他にもDOHaD(ドーハッド)という考え方、魚を食べることでオメガ3脂肪酸を摂取でき、うつ症状が出にくくなる話(昔の日本はうつ病の人が少なかった)など、食文化の変化とともに私たちの健康も変わって来ていることにも気付かされました。魚を食べるだけで、DHAやEPAなどは十分に取れるそうです。
さいごに
懇親会の中で、押田先生はビタミンDの他に、認知症防止のために葉酸を、そして体内で生成できないルテインをサプリで摂るようにしているとお話しされていたり、腸内フローラを整えるために便移植があるといった話をされていました。抗生物質を服用すると、腸内細菌はかなり死ぬそうです。一つひとつの話がめちゃくちゃ興味深く、とても分かりやすかったのでもっとお話を聞いていたいなと思いました。
葉酸って、妊婦の方が摂るイメージでしたが、男性も積極的に摂らないといけないと聞いて、サプリを探そうと思いました。また、葉酸は受精卵ができる半年前から摂っていないとだめだそうです。
他にもFirst 1,000 days(人生最初の1000日への取り組み)という言葉もたくさん出てきて、それについても理論的にお話ししてくださいました。これから妊娠を予定している方は生まれてくるお子さんの成長を願って、絶対に知るべき(学ぶべき)内容だと思いました!「ちょっと太っている子どものお母さんが凄く痩せているというパターンもありますが、これはなぜなのか?」という話と、最近の医者が妊婦さんに対して体重増加のことを言わなくなったこととの関係についてもお話されていて、食の大切さをヒシヒシと感じさせられました。もしも体重について「これ以上太らないように」などといっている産婦人科医が担当の場合は、「それは本当ですか?DOHaD学会のお話では体重制限はしてはならないと言っていると思うのですが・・・」とお問い合わせください!