04_ミッションを設定する 【山の日本語学校物語】
これは、とある町に開校した「山の日本語学校(仮名)」の物語です。ITエンジニアの専門日本語教育、プロジェクト型のカリキュラム、地域との連携などなど、新たな言語教育の実践とその可能性について、当時の記録をもとに綴っていきます。最後までお付き合いください。
この連載を始めるに至った経緯については、「00_はじめに」をお読みください。
第4回目となる今回は「ミッション」について書いてみたいと思います。
学校の理念や目標を設定し、さらに、言語目標も設定しました。で、さらに「ミッション」ってどういうこと?と思うかもしれません。しかし、私は、この「ミッション」も、プロジェクトを進める上で、とても大切な役割を果たしていたと思うので、改めて説明しておきたいと思います。
「ミッション」を着想するまでのプロセス
01で書いたように、学校や教育者としての目標というのは、明確になっていました。また、03では、「言語目標」についても書きました。しかし、学生も含め、どこに向かってプロジェクトを進めていくのかという目標は、この段階では設定されていませんでした。
日本語学校で「ミッション」を設定するというケースはあまりないかもしれません。しかし、「山の日本語学校」は、対象をITエンジニアに限定していますし、その方向性もかなり明確です。そこで、教師も学生も全てが、プロジェクトを通して目指すビジョンのようなものが必要ではないかと思いました。
この考えに至ったのには、いくつか理由があります。カリキュラムを「プロジェクト型学習」にした経緯については、これまで説明してきましたが、プロジェクトを扱うことは、ひとつの会社を運営するようなものです。「プロジェクト」を取り入れるのなら、ITエンジニアが日々行っている業務を、カリキュラムそのものに反映されていく必要があるだろうと思いました。
しかし、わたしは、エンジニアとして、プロジェクトを運営した経験もないですし、会社経営の経験もノウハウもありません。こればっかりは、私の力ではどうしようもないので、経験のある人に聞きまくりました。とにかく企業でやっていることを真似するしかないと思ったのです。
そこで、これまであまり読んでこなかったビジネス書を読んだり、いろいろなIT企業のwebサイトなどをチェックし、IT企業がどのように組織されているかを研究したり、また、現役のITエンジニアがどのように働いているかなどの話も聞くことにしました。
共感していただけてうれしいです。未来の言語教育のために、何ができるかを考え、行動していきたいと思います。ありがとうございます!