好きだけど
こんなに好きでも、この先中野くんと一緒に暮らすことはできない。どんなに深く愛し合ってると確信できても結局私たちは別々のところに帰り、そちらで穏やかに暮らそうと努力する日常がある。
誰よりも私を愛してると言ってくれても、同棲する彼女を大切にし一緒に暮らし続けている。彼女よりも私を大切にする理由なんてどう探したって見つからない事がとてもつらい。
ふたりで過ごす時間は、いつも楽しい。死ぬまで忘れたくない。時々、思い出したい。誰にも話したことがない中野くんとのこの話を、死ぬまでに誰かに聞いてもらいたい。
中野くんの携帯電話とメールアドレスに着信拒否設定した。
着信拒否は過去に何度もしてる。だけど「ちゃんとさよならを言いたい」と変な理由を付けてはどうしてもどうしても最後にもう一度声が聞きたくて設定を解除してしまい今に至っている。
もうそろそろ、いいかな。
連絡が取りにくいことに疲れてきてもいる。連絡を自由に取れないことも必然で意味があるんだろうから。
好きだけど、もういいかな。