子が生まれて
今年4月、子が生まれた。
元々子どもは好きでもなかったし、出来なければ出来ないで別に夫婦二人で楽しく生きていけばいいやと思っていた。正直言って、子どもが出来てしまったら、自分の人生は後戻りが出来なくなるだろうという気持ちもあった。自分のために時間を使いたい、もっとやりたいことは沢山あると。
そんな中で生まれた子だったが、実際にこの手に抱いて、毎日をともに過ごすと、こんなにも愛おしいものなのか?と思った。寝てくれないとき、ギャン泣きのとき、こちらに余裕がないとき。親だって人間だから腹立たしくなることもあるけど、なんてことない一瞬の笑顔で、簡単に帳消しになる不思議を何と呼ぼうか?
この子のために何ができるのかと考えたり、一緒に過ごす時間の大切さを嚙み締めたり、健康に暮らせることが当たり前でないと思い知ったり。そんな気持ちは、子が生まれなかったら到底感じなかったと思う。そういう大事なことは全部、子がくれた。そしてこれから先、もっといろんな気持ちや出来事をくれるんだろう。良いことも悪いことも。
それから自分の親が、どれだけ自分を宝物みたいに育ててくれたのかってことも思い知る。こんな愛おしい気持ちだったのか。あのシーンではきっと、信じられないくらい心配だっただろうなと。確実に年老いていく親にしてあげられる最大の親孝行であったとも。
自分の人生、後戻りが出来なくなるんじゃなくて、自分にとってはただ駒が進んだだけだった。それも自分の想像の斜め上方向に。時間の制約は確かにあれど、私は自分の人生も諦めないつもりでいるから、工夫と努力次第で無問題。
【親を思う気持ちは道幅、子を思う気持ちは道のり】とは本当にその通りだ。
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